預託手荷物の紛失・ロストバゲージ、スーツケースを取り戻せ!
~海外旅行でトラブルをくぐり抜ける(後編)

執筆:役員室 上田 雅章

前回のコラムで、海外個人旅行で搭乗予定便が欠航(フライトキャンセル)となったものの、粘り強い交渉で振替便を獲得したお話をしました。
今回は、やっとたどり着いた目的地の空港で巻き込まれたさらなる混乱と、そこから這い上がった顛末についてご紹介します。

手荷物が出てこない

直行便が欠航したため、出発地Ⓐ空港から経由地Ⓣを経て何とかたどり着いた目的地Ⓑ空港。バゲージクレームで待つこと1時間、とうとうベルトコンベアが止まってしまいましたが、我々夫婦の二つのスーツケースは出てきません。頭に浮かぶのは、“ロストバゲージ:手荷物紛失”と言う恐怖のキーワード。
そこで、私は妻をその場に残し、この大空港のバゲージクレームに並ぶベルトコンベアを見て回ることにしました。日本では考えられませんが、我々のスーツケースは誤って別のコンベアに乗せられたかもしれません。

溢れかえる持ち主不明の手荷物

捜し始めて驚いたのは、コンベア上やその周辺に残された夥しい数のスーツケース。
この日、このⒷ空港は朝から悪天候に見舞われ、多くの便が欠航、遅延、目的地変更をしたようです。この航空ダイヤの混乱と迷走した人の動きに付いて行けないスーツケースが、持ち主と逸れ散乱していました。
(実際に筆者が撮った写真をご参照下さい)

そして捜索を開始すると程なく、なんと数ブロック離れたコンベア上で、一つ目のスーツケースを発見。やったぁ!
こうなると二つ目もあるはず。深夜0時を回りましたが、今度は妻と一緒に10か所以上ある全てのコンベアとその周辺を丁寧に調べます。
しかし、見つからない。ロストバッゲージが現実に…。

手荷物窓口には長蛇の列

次にやることは、航空会社の手荷物窓口で手荷物紛失届けを出すこと。しかし既に深夜1時にもかかわらず、搭乗してきたY航空の手荷物窓口には50人以上が並んでいます。係員は一人。今からこの列に並ぶと何時間もかかりそう。ならばと決断します。ここで列に並んで朝を迎えるくらいなら、いったんホテルに入って寝てから、朝、空港に出直そう。
既に深夜2時、重い足を引きずりようやくホテルにたどり着き、バタンキューで眠りました。

驚愕!手荷物の意外な経路

翌日、慌ててもしょうがないとしっかり朝ご飯を頂いてから、昼前に空港に戻りました。
まずは、依然バッゲージクレームに放置された100個以上の手荷物の山をもう一度丁寧に見て回りますが、やはり無い。覚悟を決め、既に10人ほどまで短くなったY航空の手荷窓口の列に並びました。

順番がきて、便名、手荷物タグを提示し調べてもらいましたが、ここで驚きの事実が判明します。
我々はⅩ航空の直行便が欠航となり、出発地Ⓐ→経由地Ⓣ→目的地Ⓑと、X航空とY航空を乗り継ぎやってきました。しかし我々の二つの手荷物タグは、X航空の別の直行便で出発地Ⓐ→目的地Ⓑへダイレクトで運ぶと指示されているとのこと。
コンピューター上の記録では、一つ目の荷物は、昨晩21時に着いたX航空の直行便でこのⒷ空港まで来たらしい。しかし二つ目のスーツケースは、まだ出発地Ⓐにあるとのログ。何でぇ?

荷物はあっても、すぐに戻らない

私は、「そのスーツケースを今日の便でⒶ空港からここⒷ空港まで届けて欲しい。」と依頼。
すると手荷物係は、「届けられる日は明言できない。どこに届けてほしいか?」と聞いてきます。
私は、「明日はもうこのⒷから別の都市Ⓒに移動してしまう。1週間後には日本戻る。だから今日届けて。」と粘ります。
手荷物係は得意げに、「だったら、荷物の届け先を日本の自宅として申請するといい。」と提案します。
私と妻は、「あり得ない。全ての着替えがその中に入っている。今日の直行便ですぐに送ってくれ。」と言い張ります。
しかし手荷物係は、「これ以上できない。どの航空会社も対応は同じ。」と申し訳なさそうに返します。

最後の最後まで、あきらめない

さすがにこうなると“マネージャーを呼べ!”も通用しそうになく、もう一度じっくりと考えました。
この手荷物窓口は我々が経由地からこのⒷ空港まで乗ったY航空。このⒷ空港にはX航空の就航便が少なく独自の手荷物窓口がなく、同じアライアンス:航空連合のY航空が手荷物窓口を代行。しかしこのⒷ空港にはX航空の独自のチェックインカウンターがある。
そうだ!X航空のチェックインカウンターへ行って、Ⓐ空港にある荷物を今日の夕方の便でここⒷ空港へ送ってもらうよう直接交渉しよう。

既に昼過ぎ。X航空チェックインカウンターの担当者は、たどたどしく説明する私の話を辛抱強く聞いてくれました。すると担当者は、手荷物タグの半券を見ながら「ちょっと待って」とカウンターの奥に消えます。待つこと少々、担当者はニコニコしながらスーツケースを押して出てきました。
我々の二つ目のスーツケース!!! やったぁ!何でぇ?
どうやら、昨晩、X航空の直行便でこのⒷ空港に着いた我々の2つのスーツケース。一つは間違ったコンベアに乗せられたためかバゲージクレーム内にとどまり、二つ目は正しいコンベアからX航空の係員が取り上げ保管していたとのこと。

よかったぁ!
もちろん、不満や疑問がいっぱい残ります。それでも着替え一式が戻ったことだしと、謎はその場に置いて、意気揚々とスーツケースを引っ張ってホテルに戻りました。そして早速着替え、荷物発見の乾杯と限られた時間での観光を楽しむために、足取りも軽く午後の街へと繰り出しました。

それでも楽しい個人旅行

いかがでしたか?
確かに海外個人旅行ではいろいろと起こる事象に自分で対応しなくてはなりません。しかしその対応の相手は“人”。日本とは異なる文化・社会の仕組みがあることを認識しつつ真摯にぶつかれば、たいていは何とかなります。
そしてこのような思わぬ出来事も、それはそれで懐かしい旅の思い出になることでしょう。

少々の準備と覚悟は必要ですが、まずは最初の一歩を踏み出してはいかがでしょうか?

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