オザックス株式会社様

データ統合ソリューション Informatica Intelligent Data Management Cloud導入事例

データ連携プラットフォームを用いてシステムを疎結合
IT変革に向けた情報統合基盤を整備

紙、フィルム、消耗材の専門商社として書籍・雑誌、食品パッケージなどに使用される一般紙から特殊機能用紙に至る「紙」全般や、外食産業向け業務用備品などの調達・販売を手がけるオザックス株式会社。同社は、IT全体の構造改革の一環として三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)が提案したデータ連携プラットフォーム「Informatica Data Integration Hub」を導入し、基幹システムや業務システムを疎結合でつなぐ情報統合基盤を構築しました。併せて、データ品質プラットフォーム「Informatica Data Quality」を活用し、マスターデータを一元化して全社共通の「ゴールデンマスター」を整備。オフコンからオープン系システムに移行しながら、情報統合基盤への集約を進めています。今後、分析、AI、IoTなどの機能を情報統合基盤に取り込みながらIT環境の高度化を進めていく計画です。

オザックス株式会社

執行役員
情報システム本部 本部長
富山 友貴 氏

情報システム本部
ICT 戦略グループ 戦略推進チーム
グループマネージャ
岩本 守正 氏

導入背景

IT構造の変革に向け情報統合基盤の構築を決断

オザックスは、明治43年の創業以来、108年にわたって紙、フィルム、業務用備品・資材の専門商社としてビジネスを展開しています。近年はスマートフォンやタブレットに対応した受発注システムや、AI搭載カメラを使った省人化システムなど、店舗運営と連動したITサービスにも取り組んでいます。

業務を支えるIT基盤は、長年にわたりオフコンで運用しており、部分最適化を進めた結果、販売、購買、営業、会計など複数のシステムが乱立しデータ入力負荷や管理負荷が高まってきました。同社は、紙やフィルムを中心とした「産業資材部門」と業務用備品を中心に扱う「生活産業部門」の2つの事業部門があり、基幹システムやマスターデータについてそれぞれ独自のルールで運用していました。そこで経営トップ主導によって社内のIT戦略を統括する「情報システム本部」を2017年に立ち上げました。執行役員 情報システム本部 本部長の富山友貴氏は次のように語ります。

「戦略的なIT活用によって企業構造全体を活性化させる目的で、情報システム本部を立ち上げ、IT基盤の見直しを決断しました」その一環として最初に取り組んだのが、分散しているシステムの統合基盤の整備とマスターデータの一元化です。

「クラウドサービスなど、業務に有効なシステムが短いサイクルで登場している現在、これらのサービスをスピーディーに取り込んでいくためには、データ統合ハブを介して緩やかにつないでデータを連携・統合するのがベストと判断しました」(富山氏)

選定ポイント

豊富な導入実績と真摯で粘り強い対応を評価

データ連携プラットフォームの選定にあたり、オザックスは、RFPを2017年2月に作成してMINDを含む5社のITベンダーに提案を依頼。その結果、プロジェクト推進力、導入実績、中核となる製品の特長などを評価してMINDと同社が提案した「Informatica Data Integration Hub(DIH)」と「Informatica Data Quality(DQ)」の採用を決めました。

「MINDが提案したDIHとDQについては、私どもが求めるデータハブの役割や、マスターデータの品質を高めるためのクレンジング処理の機能を持っていたことが一番の決め手です。MINDに関しては、Informatica製品の導入を数多く手がけた実績があり、同社が導入した企業に話を聞いたところ評判が良かったこと、さらに提案内容を精査する上で真摯な対応をしていただけたことも評価しました」(富山氏)

プロジェクトは2017年4月にスタートし、要件定義、基盤構築、マスター整備などを経て2018年4月に「情報統合基盤システム」が本稼働を迎えました。約1年にわたる導入プロジェクトにおいて最大のポイントとなったのが、各システム共通の「ゴールデンマスター」の整備でした。オザックスの取引先レコード数は約4万件、各取引先に紐付く配送先を含めると約30万件あり、取引先マスターだけでも膨大なレコード数になります。商品マスターについても、同一商品でもサイズや色など分かれているため、レコード数は約40万件に達します。従来のマスターは、産業資材部門と生活産業部門がそれぞれの業務に合わせて独自のルールや項目を追加したものが多くあり、標準とはかけ離れていた状態でした。そこでMINDと協力関係にあるコンサルタントの支援を受けながら既存のマスターデータをすべて洗い出し、モデリングを行ってから基幹システムのマスターをベースに正規化を進めていきました。情報システム本部 ICT戦略グループ 戦略推進チーム グループマネージャの岩本守正氏は次のように語ります。

「棚卸しをすると各システムに特化した大量のマスターがあり、不要なマスターデータは削除するようにしましたが、会社法で一定の年数の保管を義務付けられている実績データなどは削除できません。それらをしっかり確認しながらマスターの構造を分析し整備を進めました」

また、マスターデータの品質を維持するため、DQを使って、データのプロファイル、名寄せや例外値検出などのデータクレンジング処理を実装しました。これによって、一定のルールを維持しながら新たなマスターデータの追加ができるようになりました。

データ連携プラットフォームについては、DIHを利用し、業務システムを疎結合化しています。情報統合基盤に、受発注システムも接続し、EDI経由で基幹システムや倉庫管理システムとの連携を可能にしたことも独自の工夫です。今後は基幹システムのリプレースのタイミングでオープン化に移行して情報統合基盤と接続し、その他の業務システムも順次接続していく計画です。

導入効果

システム開発効率とデータ品質の向上

DIHを用いた情報統合基盤システムの構築により、各システムのリプレースに掛かる期間は大幅に短縮できる見込みです。さらに、接続開発コストやシステム入れ替えコストの抑制が期待されています。

また、情報統合基盤システムに一元的にデータが統合されること(統合データベース)で、データ可視化のスピードも向上する見込みです。今後は、各基幹システムから出力している実績データを、情報統合基盤システム上から出力するように切り替える予定で、業務ユーザーが好きなタイミングで実績情報を参照することが可能になります。

マスターデータの運用については、ワークフローを介して登録するツールを新たに用意。マスターデータの新規登録時や修正時は、DIHを介して統合マスターデータベースを更新します。また、統合マスターデータベースはDQによりクレンジング処理が実行されます。

「これによって無駄なマスターデータの増殖を防ぎ、常にきれいなマスターが維持されます。今後は全マスターの登録・修正について、承認フローを通すことで、ガバナンスの強化を図ります」(岩本氏)

今後の展望

統合データの分析基盤を整備しITビジネス革命の実現へ

今後については、情報統合基盤システム上に蓄積した統合データを分析する基盤の導入を検討しています。MINDとは情報統合基盤にシステムを追加していく第2フェーズの開発を進めており、継続的な支援に期待を寄せています。富山氏は「現在、6年計画の構造改革の3年目で、今後も長期的な目線でIT環境の強化とパフォーマンスの向上に向けた施策を進めていきます。今後はデータを蓄積した後の取り組みが重要になるので、MINDには今後とも支援を期待しています」と話しています。

オザックスは新たな価値の創造を通じて、豊かな未来づくりに貢献していきます。