三菱マテリアル株式会社様

データ統合ソリューション Informatica Intelligent Data Management Cloud導入事例

グループ一体のデジタル化戦略推進に向けて統合データ連携基盤を構築。データ活用によるビジネス付加価値向上を加速

銅を中心とした非鉄金属素材や付加価値の高い機能材料・製品の提供を通じて、豊かな社会の構築に貢献する三菱マテリアル株式会社。同社はデータを活用したデジタル化戦略の推進に向けて、クラウドデータ管理プラットフォーム「Intelligent Data Management Cloud(IDMC)」を導入し、NRIデジタル株式会社、三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)とともにデータ連携基盤とアプリケーション連携基盤を構築しました。これらの連携基盤は現在、三菱マテリアルグループが取り組むDX戦略や、事業カンパニーで新たなビジネスやサービスの創出に活用されています。

三菱マテリアル株式会社様

三菱マテリアル株式会社
戦略本社システム戦略部
ICT推進室室長補佐
菊池 一平 氏

三菱マテリアル株式会社
加工事業カンパニー戦略本部
加工DX推進部
白根 達也 氏

株式会社マテリアルビジネスサポート
システム業務部運用サポートグループ
井上 悠史 氏

導入背景

MMDXの施策を効果的に推進するためグループ共通のデータ連携基盤を構築

高機能製品、加工事業、金属事業、環境・エネルギー事業などを展開する三菱マテリアル。同社は2020年にDX推進本部を新設し、ビジネス付加価値・オペレーション競争力・経営スピードの向上を3本柱とするデジタル化戦略を推進してきました。デジタル化戦略の中では三菱マテリアルグループのDXを「MMDX」と名付け、顧客接点強化、ものづくり改革、経営基盤強化の3つの切り口から「MI(マーケットインテリジェンス)デジタル顧客接点」「データ基盤・利活用」「経営管理高度化」など19テーマ(2022年9月時点)を策定して各施策に取り組んでいます。

こうしたMMDXの施策を効率的に推進するために必要なのが、グループ共通のデータ連携基盤です。戦略本社システム戦略部 ICT推進室室長補佐の菊池一平氏は次のように語ります。

「三菱マテリアルグループは事業カンパニーごとにIT部門があり、それぞれが個別にデータ連携をスクラッチで開発してきました。しかし、グループ一体でデジタル化戦略を推進するためには、共通のデータ連携基盤を構築し、個別最適化を解消する必要があると考えました」

選定ポイント

複数ソースのデータ集約が可能なIDMCを採用
ポイントは1対多の疎結合

三菱マテリアルは、グループ共通のデータ連携基盤の構築に向けて、各事業カンパニーのニーズをもとに2021年3月よりETL(Extract / Transform / Load)ツールの選定を開始。同年5月にはIDMCの採用を決定し、構築パートナーに野村総合研究所(NRI)グループのNRIデジタルを選定しました。

「IDMCの採用理由は、コンポーネントに含まれるデータ連携ソリューションのInformatica Data Integration HUBが1対多の疎結合に対応し、複数のソースからデータを集約できる機能を有しているからです。NRIデジタルは、IDMCを提案した複数のベンダーの中でも、構築実績、コスト、体制、技術力の面で秀でており、総合的な判断によって採用を決めました。特に技術面や体制面においては、バックグランドに実績豊富なMINDの存在があることも評価のポイントになりました」(菊池氏)

プロジェクトでは、2021年5月から8月にかけてデータ連携基盤(Informatica Cloud Data Integration HUB)、10月から12月にかけてアプリケーション連携基盤(Informatica Cloud Application Integration)を構築。2022年1月より各基盤上でのシステム連携開発を開始しました。加工事業カンパニー戦略本部 加工DX推進部の白根達也氏は次のように語ります。

「プロジェクトは“走りながら”進めていきました。というのもファーストユーザーには2021年6月にはデータ連携基盤を使いたいと要望があったからです。従来のフルスクラッチで開発された連携処理を整理するとともに、検証環境や本番環境の構築を並行して進めました。NRIデジタルやMINDには連携基盤の構築だけでなく、利用のためのガイドライン作成、ユーザードキュメントの資料作成、ETLの使い方のトレーニングも含めて、様々な支援をしていただきました」

導入効果

グループ共通の連携基盤を提供
事業カンパニーはDXにリソースを集中

2022年1月より本格稼働を開始したデータ連携基盤・アプリケーション連携基盤は、各種システムから抽出したデータの変換やデータウェアハウスへの書き出し、アプリケーション間のデータ連携などで利用されています。2022年9月時点で、MMDXで掲げる19テーマのうち半数以上のテーマで連携基盤を活用。事業カンパニーでも活用され、金属部品・複合材料の切削加工に不可欠な超硬工具を供給する加工事業カンパニーでは、アプリケーション連携基盤上で商品情報管理(PIM)連携や顧客管理を実現しています。

「NRIデジタルには、短納期でアプリケーション連携基盤を構築していただきました。MINDにもスピード感を持ってQA対応をしていただき助かっています」(白根氏)

データ連携基盤・アプリケーション連携基盤によって得られた最大の成果は、三菱マテリアルグループ共通の基盤が構築できたことにあります。

「グループ全体のシステムを統括する私たちからすると、ETLツールの導入を検討するDX推進部や事業カンパニーに対して、まずは共通の基盤を検討してみようという選択肢を提供できたことが成果です。共通基盤であれば、ガラパゴス化することもなく、技術トレンドを維持したままサービスを提供することができます。結果としてユーザーの負担が軽減され、高い品質の連携基盤が維持されることになります」(菊池氏)

今後、MMDXを進めていくうえでも、複数のシステムやデータを連携する基盤は重要な役割を果たし、経営やビジネスに貢献することが期待されています。

「三菱マテリアルグループの場合、多くのシステムがスクラッチで開発されています。そのため、複数のシステムと連携する場合、これまでなら連携方法から検討する必要がありました。共通のデータ連携基盤、アプリケーション連携基盤を持ったことでデータ連携についての検討工数を削減することができます。事業カンパニーと取り引きしているベンダーに対しても、共通基盤を前提に考えて欲しいと伝えることで、負担を軽減することができます」(白根氏)

今後の展望

使い方のベストプラクティスを提案しより多くの利用を呼びかけ

今後は三菱マテリアルグループ共通のデータ連携基盤・アプリケーション基盤として、MMDXのテーマ担当部署や、事業カンパニーに対して積極的な利用を呼びかけ、使い方のベストプラクティスを提案しながら、より多くのユーザーの利用を目指していく方針です。三菱マテリアルグループ内でETL基盤の運用・保守を担当する株式会社マテリアルビジネスサポート システム業務部運用サポートグループの井上悠史氏は次のように語ります。

「連携基盤の利用にはライセンスコストがかかるため、ユーザーにはコストを負担していただいています。今後も継続して利用していただけるよう、ユーザーには利用メリットがコスト負担を上回ることを訴求し、それを実感していただけるようにアピールしていきます。また、より安価に利用できるようなデータ連携の構成や、コストのかからないデータの加工方法をアドバイスしていきます。NRIデジタルには引き続きAWS上のETL基盤の保守を、MINDにはIDMCに関する技術支援を期待しています」

三菱マテリアルは、事業カンパニーとIT/デジタル部門が一体となった活動をスピーディーに遂行し、社会の変化、環境の変化、自らの変革に対応するリアルタイム経営を目指していきます。