クラウドPBXとは?
主な機能や導入のメリット・デメリットを紹介

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2024年10月1日

コロナ禍を経て、現在は出社と在宅を切り替えて仕事をするハイブリッドな働き方が定着しています。

特に電話業務は、長年、会社に出社して対応せざるを得ない業務の1つでした。しかし、近年は電話の取次ぎ業務のための出社を伴わないことに加え、通話コストも抑制できる「クラウドPBX」が注目されています。

本記事では、クラウドPBXの基本機能や導入のメリット・デメリット、さらに導入を検討すべき企業や状況を詳しく解説します。

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クラウドPBXとは?

クラウドPBXは、従来まで拠点内に設置されていたPBX(構内交換機)の機能を、クラウド上で提供するサービスです。

クラウドPBXを導入することで、物理的なPBX機器の設置や維持管理が不要となり、資産管理や停電対応などのメンテナンス負荷を大幅に軽減できます。

また、専用のクラウド電話アプリをインストールすることで、内線電話機だけでなく、スマートフォンやPC、タブレットから外線・内線通話や転送機能を利用できるようになります。

クラウドPBXの仕組みや概要は、以下の動画もご参照ください。

他のPBXとの違い・比較

PBXには、クラウドPBXのほかに、オンプレミスPBXがあります。また、クラウドPBXとオンプレミスPBXを組み合わせたハイブリッド型も展開されています。

それぞれの特徴や違いは以下の通りです。

項目 クラウドPBX オンプレミスPBX ハイブリッド
システム形態 クラウド型 オンプレミス型 クラウド型
オンプレミス型
利用可能拠点数 無制限 制限あり 無制限
初期費用 安い 高い 高い
運用コスト サービスの利用料 メンテナンス費用 サービスの利用料
メンテナンス費用
導入までの期間 短期間 長期間 長期間
メンテナンス サービス提供者 自社 サービス提供者
自社
音質 良好 良好 良好
その他 インターネット環境が必要 物理的な設置スペースが必要 2つのPBXを適切に連携させる必要がある

クラウドPBXは、サブスクリプション型のサービスが多く、初期費用や導入スピードで優れています。メンテナンスやアップデートを自社で対応する必要がないため、運用負担が少ない点も特徴です。

一方で、運用にはサービスの使用料がかかる点に注意が必要です。

クラウドPBXの主な機能

クラウドPBXは、従来の電話システムの機能に加え、さまざまな機能が搭載されています。

キャリアのFMCサービスや専用のアプリを用いてスマートフォンを内線化(スマホ内線化)でき、外出先でも会社の電話を受けたり、内線電話をかけたりすることができます。

また、Web管理画面から簡単に設定変更や利用状況の確認ができるため、運用管理の手間も軽減できます。他のシステムと連携することで、業務効率化を図ることも可能です。

クラウドPBXの主な機能は以下の通りです。

機能 概要
代表番号の発着信 すべての電話機から代表番号で発信・着信ができる
内線通話 社内の電話機同士で、通話料無料で通話ができる
保留・転送(取次ぎ) 通話を一時停止し、他の電話に転送する
多様なデバイスの内線化 スマートフォンやPCなどを内線電話機として使用できる
通話録音 通話を録音できる(留守番電話としても使える)
顧客情報の表示(CTI) 電話が鳴ると顧客情報を自動で表示する
外線の一斉呼び出し 外線電話を複数の電話機につなぎ、誰かが取ると他の電話は鳴り止む
インターネットFAX インターネットを使ってFAXを送受信できる

クラウドPBXを導入するメリット

クラウドPBXの導入には多くのメリットがあります。以下では、クラウドPBXを導入することで得られる主なメリットを解説します。

場所の制限がない

クラウドPBXを導入することで、スマートフォンなどのさまざまなデバイスを内線化できます。そのため、電話業務を行う際は、会社の固定電話を使う必要がなくなります。インターネット環境さえ整っていれば、どこでも電話業務ができます。

また、内線電話と社用携帯の2台持ちの手間が解消され、テレワークでも電話対応が可能になります。従業員の作業効率が向上し、リモートワークを促進できます。

導入コストを抑えられる

クラウドPBXでは、物理的な機器の設置や配線工事が不要です。そのため、ビジネスフォンやオンプレミス型PBXと比較して、機器の購入費用や設置工事の費用を削減できます。

また、サブスクリプション形式での契約が基本なため、導入から利用開始までのスピードが速いです。契約更新も柔軟に対応しているため、短期間だけの導入もできます。

運用負担が少ない

クラウドPBXは、物理的なPBX機器をオフィスに設置しないため、機器の保守点検や資産管理などの作業が不要です。組織の規模や体制が変わる際にも、追加の工事が不要で、柔軟に対応できます。

また、拠点ごとにPBX機器を設置しないため、複数拠点の電話システムを一元管理でき、運用負担を大幅に軽減できます。

加えて、電話番号管理や利用者からの問い合わせ対応などを自社で運用せず、管理・運用を委託できる外部ベンダーを活用することで、さらなる負担軽減につなげることもできます。

クラウドPBXのデメリット

クラウドPBXにはいくつかのデメリットも存在します。導入の際にはデメリットを理解した上で、自社に最適なサービスの選定が重要です。

発信できない番号がある

クラウドPBXで使用する電話番号には、050番号や03、06といった市外局番があります。中でも、050番号を利用するサービスでは、110や119などの緊急ダイヤルに発信できない場合があります。

ただし、固定電話からの緊急通報は可能です。また、スマートフォンの標準電話アプリからの緊急発信も可能です。

アプリを切り替えることで緊急ダイヤルにも発信できるため、大きなデメリットにはならない可能性が高いものの、事前に利用者に周知する必要があるでしょう。

音質はインターネット環境の影響を受ける

クラウドPBXでは、インターネットを介して通話を行うため、インターネットの通信品質によっては音声の遅延やゆらぎが発生する可能性があります。

特に、地下鉄や高層階、トンネル内などのインターネットが不安定な場所で使用する際は注意が必要です。

なお、音質や安定性はサービスによって異なるため、導入する前にしっかりと確認することが重要です。

クラウドPBXの導入がおすすめの企業・状況

ここではクラウドPBXの導入が特に有効な企業や状況をいくつか紹介します。

テレワークを実施している

テレワークを導入している企業にとって、クラウドPBXの導入は非常に有効です。

テレワーク導入時の課題として、電話業務や電話応対の難しさが挙げられます。メールやチャット、Web会議はオフィスと同様に利用できたとしても、リモートの電話環境が整っていないことが多いです。そのため、電話応対のために出社しなければならない状況が生まれます。

また、メールやチャットでのやり取りが多い仕事でも、細かいニュアンスや意図が伝わりにくく、通話が必要なこともあるでしょう。

クラウドPBXを導入すれば、スマートフォンを内線電話機として利用でき、テレワーク中でも通話による連絡が可能になります。オフィスの外線番号への着信もスマートフォンで受けられるため、取引先に会社番号の他に携帯電話番号を伝える必要がなくなります。

これにより、テレワークの効率性が向上し、企業全体の生産性が高まります。

既存システム(オンプレPBX)のサポート・保守期間が終了する

既存のオンプレPBXのサポートや保守期間が終了する企業にとっても、クラウドPBXへの移行は有効な解決策です。

オンプレPBXの維持には、定期的なメンテナンスや更新が必要であり、サポート終了後の運用にはリスクが伴います。

クラウドPBXは、既存のオンプレPBXと併用できるサービスもあり、段階的な移行や既存システムを活かした電話システムの構築が可能です。また、クラウドPBXは、インターネットを介して電話システムを構築するため、既存システムから移行する場合でも、追加の工事が不要です。

クラウドPBXに移行したことで、コストの抑制と運用の負荷軽減につながった実例もあります。既存システムのサポートや保守期間が終了する場合は、良い機会と捉え、電話システムを見直すのもおすすめでしょう。

全国に多数の拠点を持つ

全国に複数の拠点を持つ企業にとって、クラウドPBXは理想的な選択肢です。クラウドPBXを利用することで、地理的に離れた拠点間でも内線通話を行えるようになり、通信費用の大幅な削減ができます。

従来のオンプレPBXは、各拠点に個別のシステムを設置・管理しなければなりません。そのため、拠点によってシステムや管理方法が異なり、効率的な運用ができていないケースもあります。

一方、クラウドPBXでは、複数拠点の電話システムを一元管理できるため、運用の効率化を図ることができます。また、インターネット接続さえあれば場所を問わず利用できるため、新たに拠点を追加する際も柔軟に対応できます。ビジネスの拡大に伴う通信インフラの整備が簡単です。

クラウドPBXの選定ポイント

ここからは、クラウドPBXを導入する際の選定ポイントを解説します。自社の求める要件に最適なサービスを選ぶための参考にしてください。

音質・安定性

クラウドPBXの音質や安定性は、サービスによって大きく異なります。サービスによっては頻繁に通話が途切れたり、音が聞こえなくなったりするトラブルが起こりうるため、十分な比較検討が必要です。

導入前にトライアルを行ったり、導入事例を確認したりして、自社環境でしっかりと動作するサービスを見つけるようにしましょう。

導入費用・ランニングコスト

クラウドPBXでは、導入費用の他に、ランニングコストがかかります。サービスの利用料は、搭載機能や利用人数によって異なるため、自社環境での費用を確認することが大切です。

また、自社にとって必要な機能が基本標準として含まれているのか、それともオプションとして追加費用が発生するのかの確認も重要です。

セキュリティー

クラウド型PBXを選ぶ際には、サービス提供者側のセキュリティー体制も重要です。サーバーの管理方法やアップデートの頻度と質など、サービス提供者側のセキュリティー対策を確認しましょう。

サポート体制

クラウドPBXの運用中にトラブルが発生した場合に、迅速かつ適切なサポートが受けられるかどうかは重要なポイントです。

特に、海外拠点を持つメーカーが提供するクラウドPBXの場合は、日本語でのサポートが受けられるか、緊急時に電話での対応が可能かなどを事前に確認しておきましょう。

搭載機能

クラウドPBXは、多岐にわたる機能を提供しており、柔軟性や拡張性に優れています。しかし、豊富な機能の中には、自社の業務には不要なものも含まれることがあります。

導入時には自社の目的やニーズを明確にし、実際に必要な機能だけを選定することが重要です。適切なプランを選ぶことで、無駄なコストを避けつつ、業務効率を最大化できます。

当社の電話システム(PBX/クラウドPBX)構築・運用サービス

当社は、電話システムの設計・構築から、運用・監視保守まで一貫してサポートする「電話システム(PBX/クラウドPBX)構築・運用サービス」を提供しています。

当社に依頼することで、担当者や管理者の業務負担の軽減につながり、電話システム運用業務の属人化を防ぐこともできます。また、予算に応じて、PBX機器や電話機などのレンタルサービスも展開しています。

さまざまな機器や回線、サービスを組み合わせて、各企業の状況や働き方に最適な電話システムの構築を実現できます。

「電話システムをオンライン電話サービスから高音質のクラウドPBX/FMCに移行コスト抑制と運用負荷軽減を実現」ネオス株式会社様 「複数の電話システムの運用窓口を一本化!ブラックボックス化を解消しグループ各社の運用課題を解決」パーソルホールディングス株式会社様

まとめ

クラウドPBXは、スマートフォンの内線化や導入コスト削減といったさまざまな導入メリットがあります。特に、テレワークや多拠点展開を行う企業におすすめです。

一方で、品質はインターネット環境に依存するため、導入前にデメリットも十分に理解し、適切な選定を行う必要があります。そのため、クラウドPBXの導入を検討する際には、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

当社は、ネットワーク環境や企業の状況に合わせた電話システムの導入・運用支援を行っています。クラウドPBXに限らず、企業の費用感や既存システムとの連携を考えた上で、適材適所でベストな提案も可能です。

また、電話システムの検討時や運用時にやるべきことをリストにまとめた資料を用意しています。自社に合う電話システムの選定ポイントや導入・運用手順などを解説しているので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

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