パーソルホールディングス株式会社
電話システム(PBX/クラウドPBX)構築・運用サービス導入事例
複数の電話システムの運用窓口を一本化
ブラックボックス化を解消しグループ各社の運用課題を解決
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げ、総合人材サービスを展開し複数の企業群で構成されるパーソルグループでは、様々な電話システムが導入され、ブラックボックス化が進んでいました。そこで、三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)の「電話システム(以下、PBX/クラウドPBX)構築・運用サービス」を導入し窓口を一本化しました。これにより、電話システムに関するヘルプデスク対応、内線追加、電話移設、障害対応などがグループ内で標準化され、効率的に運用できるようになりました。
パーソルホールディングス株式会社
グループIT本部
セキュアアクセスインフラ部部長
畠山 惇 氏
パーソルホールディングス株式会社
グループIT本部
ワークスタイルインフラ部
コミュニケーションインフラ室
リードコンサルタント
小宮 孝久 氏
導入背景
複数の電話システムが混在し運用状況がブラックボックス化
人材派遣サービスの「テンプスタッフ」や転職サービスの「doda(デューダ)」、スキマバイトアプリの「シェアフル」など求職者と企業をつなぐ人材サービスから、ITアウトソーシング、設計開発まで、人と組織に関わるサービスを提供するパーソルグループ。国内に37社(2024年5月時点)を有し、523拠点(2024年2月時点)を展開しています。
パーソルグループのコミュニケーション基盤の整備や運営を担うパーソルホールディングス株式会社 グループIT本部 ワークスタイルインフラ部 コミュニケーションインフラ室は、国内グループ20社、180拠点分の固定電話を管理し、利用者数は約1万5,000人に達します。同グループはM&Aによって事業拡大を図ってきた経緯があり、電話システムはサイロ化と個別運用が進んでいました。当時の電話システムの課題について同室の小宮孝久氏は次のように語ります。
「電話システムは大きく2パターンありました。1つは各拠点にPBXを設置し、キャリアもベンダーも個別に採用しているパターン。もう1つはデータセンターにPBXを設置して、中央集権的に管理しているパターンです。その結果、 運用方法が統一されておらず、フリーダイヤルが開通できない、作業台帳が更新されていないといった課題がありました」
同グループは「脱固定電話」の施策として、PCやスマートフォンに専用ソフトウェアをインストールしてインターネット回線で通話する「ソフトフォン」を導入するプロジェクトを進めています。ソフトフォンの導入を進めるうえにおいても、ブラックボックス化した固定電話環境は足かせになる懸念がありました。セキュアアクセスインフラ部 部長の畠山惇氏は当時を次のように振り返ります。
「固定電話の運用が可視化されていなければ、現状の作業内容、工数、コストが適切であるかの判断がつきません。固定電話からソフトフォンへスムーズに移行するためにも運用環境を再整備し、グループ全体で標準化を図る必要がありました」
選定ポイント
MINDによる伴走支援提案と標準化されたサービスを評価
同グループは複数のベンダーに提案を依頼した中から、PBX/クラウドPBX構築・運用サービスを採用しました。その理由は、実績と独自の運用ノウハウを持つサービスであること、マルチベンダー・マルチキャリアに対応していること、オンプレミスのPBXとクラウドのPBX両方に対応していること、複数キャリアの電話回線手配やLAN配線工事等、PBX周りの関連作業にも対応していることなどがありました。加えて、MINDによる伴走支援の提案とベストプラクティスに基づく標準化したサービスであることを評価しました。
「MINDは一緒に要件を詰めていく中で『こうすれば実現できます』といったように、現状の運用を理解しようと努め、親身になって実現方法を考えてくれました。また、豊富な実績に基づく標準化された運用メニューをベースにするということで、属人的な運用に陥らないという安心感もありました」(小宮氏)
本格的な運用設計は2023年4月から開始し、同年7月からのパイロット運用を経て、10月からMINDによる一元的な運用に切り替えました。運用設計フェーズでは、利用者からの要望を取り入れながら進めました。
「グループ各社の文化が異なり、ある会社からはスピードを優先して欲しい、別の会社からは安全を優先して慎重に進めて欲しいといった要望がありました。各社の文化、目的、用途を理解し、会話を重ねながら運用設計を進めていきました」(小宮氏)
導入効果
PDCAサイクルをまわしながらグループ各社の運用課題を改善
2024年5月時点でグループ20社、180拠点の固定電話に関するヘルプデスク対応、内線電話の増設/ 移設などの工事手配、内線管理、回線手配や障害の問い合わせ対応などをMINDに委託しています。運用を切り替え後6カ月間の総依頼件数は約1,200件。1日あたりで平均10件となっています。MINDに委託した効果について、畠山氏は次のように語ります。「MINDの運用サービスに切り替えた最大の効果は、手順を細かく設定したことで作業の再現性が確保され、安心感が高まったことです。グループ各社の現場では運用が軌道に乗り始めたところで、ブラックボックス化されていた運用状況が把握できるようになり、課題を共有できるようになりました。今後、グループ全体でPDCAサイクルをまわしながら改善を重ねることで各社の運用業務の効率化が進んでいくことを期待しています」
その他、現在推進中のクラウドPBXへの移行でもベンダーの一本化が実現し、作業効率が高まりました。工事業者への作業指示書見直しや工事フローのシステム化等も合わせて移行できたほか、電話回線手配やLAN配線工事等の作業にも対応が可能になりました。
「MINDには、拠点移転に対しても様々な手配で協力をいただいています。現在、コミュニケーションインフラ室がソフトフォンへの移行に向けて準備を進めている中で、拠点移転もフレキシブルに対応する必要があり、グループ全体で年間数件の案件が発生しています。コミュニケーションインフラ室の人的リソースが十分でない中で、MINDには電話回線だけでなくFAX回線の敷設、郵便料金計器の回線敷設といった部分でも支援いただいています」(小宮氏)
今後の展望
脱固定電話の施策としてソフトフォンの導入を加速
今後は、固定電話の運用を進める中で見えてくる新たな課題に対応しながら、より良い運用へと改善を図っていく計画です。その中でもPBX/クラウドPBXに関しては、利用部門の業務支援に向けて、通話録音に関心を寄せています。
「コールセンターを有するグループ企業では、通話録音に関する要望も増えています。例えば、録音したデータを文字化して、成功体験を社員間で共有したり、スキルトランスファーに活用したりといったケースも考えられます。コールセンターでの電話応対終了後の後処理にも利用可能で、生産性の向上に寄与できるサービスに昇華できたらと考えています」(小宮氏)
MINDに対しては、これまでの運用実績を評価して現在進行中のソフトフォンへの移行プロジェクトにもメインのベンダーとして参画を依頼し、移行後の運用支援も継続して要請する方針です。
「ソフトフォンに一本化されることは、私たち運営側にとってのメリットも大きく、業務の効率化がさらに進むことが期待できます。そうなるとネットワークの重要性もさらに高まりますので、MINDには電話回線だけでなく、ネットワークに関する支援にも期待しています」(畠山氏)
パーソルグループは、新しい働き方に向けて、自ら考え、行動しながら変革と挑戦を続けていきます。