制御システムが危ない!日々巧妙化するサイバー攻撃から工場を守れ

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2021年12月22日

近年、工場などの制御システムを狙ったサイバー攻撃が増加しており、国内の工場などで操業が停止するなどの被害が増加しています。多くの制御システムでは脆弱性を持った機器が稼働しているケースが多く、アンチウィルスソフトなどの一般的なセキュリティー対策が困難なため、別手段による対策が必要です。本コラムでは制御システムの置かれている現状と求められるセキュリティー対策をご紹介いたします。

制御システムを狙ったサイバー攻撃の増加

近年、国内を含む世界中で工場などの制御システムを狙ったサイバー攻撃が増加しております。
2010年にStuxnetと呼ばれるマルウェアにより、イランの核燃料施設でウラン濃縮用の機器が機能不全に陥る被害が報告されたのを皮切りに、世界各地の制御システムでサイバー攻撃による被害が増加しております。
特に、ランサムウェアを用いたサイバー攻撃が増加しており、2019年にはノルウェーの大手アルミニウム生産会社の工場でランサムウェアが拡散し、操業が数日間停止するといった被害が報告されております。
日本国内においてもサイバー攻撃による被害が出ており、2017年には世界的に流行したランサムウェア「Wannacry」により、大手自動車メーカの操業が数日間停止するといった被害が報告されております。また、同自動車メーカでは2020年にも標的型攻撃の対象にされ、国内外の拠点の操業が停止する被害が発生しており、国内においても制御システムへセキュリティー対策を行うことは急務と言えます。

イメージ:サイバー攻撃

制御システムが狙われる理由


制御システムでサイバー攻撃の被害が増加している背景として、システムの汎用化、オープン化といった利用技術や環境の変化が挙げられます。
従来、制御系ネットワークはメールなどを行う情報系ネットワークから物理的に分離されたクローズドな環境で運用されることが多いため、制御系ネットワークに対してセキュリティー対策は不要であると考えられていました。
一例として、工場の生産性の向上を目的にネットワーク内に大量のIoTセンサーを導入し、センサーから取得した情報を活用することで、業務改善や故障予知などの運用が行われています。この場合、センサーから情報を収集/分析する過程で、制御系ネットワークは情報系ネットワークと直接/間接的に繋がるオープンな環境へと変化しています。その結果、工場の操業が効率化される一方で、外部からの不正アクセスやマルウェアの侵入が容易な環境に変化したことで、サイバー攻撃を受けるリスクが増加しています。
このような変化により、今までは安全と考えられていた制御システムに対してセキュリティー対策の導入が必要となっています。

制御システムにおけるセキュリティー対策の課題

制御システムにセキュリティー対策を導入する上で、制御システムと情報系システムでは導入している機器や運用レベルが異なることを留意しておく必要があります。
制御システムはライフサイクルが10~20年程度の長い間隔で運用されるため、脆弱性を抱えた古いバージョンのOSを搭載した機器が稼働し続けている場合があります。そのため、一般的なセキュリティー対策であるアンチウィルスソフトは古いOSに対応していないことやソフトの導入後に機器メーカのサポートが切れてしまうことが課題となります。
また、制御システムでは非常にセンシティブな通信が流れていることが多いため、アンチウィルスソフトを導入すると通信レスポンスに影響を与えてしまうといった課題もあります。
その他にも、工場では保守メンテナンスのために情報系ネットワークで利用した、あるいは、保守業者が外部から持ち込んだPCやUSBなどの媒体を制御システム内で利用する事もあり、そこから脆弱性のある機器にマルウェアが感染/拡大し、大きな被害につながってしまう課題もあります。

制御システムに有効なセキュリティー対策

前述した諸課題のとおり、制御システム内の機器自体にセキュリティー対策を導入し、維持管理することは困難です。そのため、制御系ネットワークでは「ネットワーク経路上でのセキュリティー対策」を行うことが有効な対策であると言えます。

イメージ:セキュリティ対策

攻撃の多くは情報系ネットワークを経由して制御系ネットワークにマルウェアが侵入/拡散することで被害が拡がります。そこで、ファイアウォールやUTM(Unified Threat Management)を導入して情報系ネットワークと制御系ネットワークの境界を分離する対策が有効です。外部から制御系ネットワークに不正アクセスやマルウェアが侵入することを防止することで攻撃から制御システムを守ることに繋がります。
その他にも制御系ネットワークの内部でセキュリティー対策を行うことも重要です。例えば、制御系ネットワーク内部の通信を可視化する装置を導入することで、マルウェアに侵入された場合の早期発見と拡散防止が可能となり、被害を最小限に抑えることができます。
これらのセキュリティー対策を導入するには、導入機器の調査・検討から日々の監視運用の確立といった幅広い対応が必要となります。すべての対応を自社要員のみで行うことは容易なことではないと思います。そのため、必要に応じてアウトソーシングするなど、サイバーセキュリティー管理体制の構築・人材確保も重要となります。

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