犬も歩けばデジタルトランスフォーメーション(仕事改革)
~令和に生きる「いろはカルタ」~

執筆:役員室 山口 卓

「犬も歩けば棒に当たる」「論より証拠」「花より団子」・・と来れば、皆様も多分ご存じの「いろはカルタ」です。
かつては、お正月などの子供の「お遊び」によく使われたのですが、人生訓を学びながらカルタを楽しめるという、今ならさしずめ、スマホを使ったゲーム感覚の学習アプリでしょう。
「いろはカルタ」は、19世紀幕末に上方(関西)で生まれ、その後江戸に伝わった様です(諸説あります)。
明治、大正、昭和と引き継がれて、ことわざ内容も長い年月の間に世相を反映したものへと自然に入れ替えられました。その為、江戸、京都、大阪で内容に少し違いが有ります。
時を経た21世紀令和の現在、改めて眺めても、今でもビジネス・働き方の人生訓として、日常で共感出来て役立つものが結構有ります。
筆者独自の現代風解釈を入れてみましたので、少々「お遊び」にお付き合い下さい。

まずは、のことわざから。( )はカルタの地名

・犬も歩けば棒に当たる(江戸)
行動起こせば、幸運をつかむか災難に出くわすかはともかく、「何か見つかるぞ」、との譬えです。
なるほど、何かに出くわした経験と学習が人の成長を促します。いつも机の前でパソコンクリックしているだけ、なんてのはどうなのでしょうか?
会社に必要なデジタルトランスフォーメーション(DX)人材育成には、社内・社外での失敗と成功の試行錯誤を経験する「犬棒キャリア」も大事なんじゃないかなぁ、なんて(ワン!)。

一寸先は闇(京都)
2~3年前にはクールジャパンで業績絶好調だった旅行業界、運輸業界などがパンデミックで急失速。
最近持ち直しつつあるとは言うものの、新型コロナはしぶとく、この先はどうなるか分からない。
ビジネスには常に思わぬ落とし穴が・・。好調な時ほど危機管理を、との警鐘・戒めでしょうか・・。
もっともこの語句の続きは「三分先は光」とも言うようですよ(微笑)。

・一を聞いて十を知る(大阪)
さすがは商人の町大阪のカルタ。これぐらいの才覚が無いと商売繁盛しませんよね。
今ならさしずめ大事な大事なお客様データをベースに、IT・AIを駆使したお客様ニーズのデータ分析で、売れ筋商品の予兆を捉えた先行型ビジネス展開ですかね。
お客様に寄り添ったサービス提供と伝統のナニワ魂で商売繁盛、 大阪復活だぁ!

続きましてはのことわざです。

・論より証拠(江戸)
「いけないことはよく分かっているんだ。飲んで運転する訳ないでしょう!」。
「でもあなた顔が真っ赤ですよ」。こんなのは絶対やめましょうね。

・論語読みの論語知らず(京都)
あの人、資格をたくさん取って理屈は一流なんですけど、やっている事がどうも違うんだよねぇ・・。
こんな人、周りにいませんか?

・60の手習い(大阪)
いやはや、60歳越えのITリスキリング大変です。若い時と比べて記憶力が数段落ちている。
しかし挫けませんよ~。でも「脳トレ」がヒットする理由分かりました(笑)。

さて、これから先は、・・と続きますが、紙面の関係上、いくつかをご紹介です。

・憎まれっ子世に憚る(江戸)
コンピューターウィルスは誰が産み出しているものやら・・。
でもこれ、IT技術の進歩とリンクしているのだそうです。IT業界進歩の隠れた厄介者?
とんでもない迷惑なのですがね(怒)。

・蒔かぬ種は生えぬ(京都)
人材投資も開発投資もろくに行わず、成果だけを現場に執拗に求める経営者。
桃栗三年柿八年(大阪)です。無理が通れば道理がへこむ(江戸)と言うことわざも肝に銘じておかれた方が・・。

芸は身を助ける(江戸)
副業奨励の時代です。履歴書にIT資格が並んでいると、キラッと光りますね。

・来年の事を言えば鬼が笑う(京都)
おいおい、まだ2月なのに早くも「来年勝負」?(笑)

・のど元過ぎれば熱さ忘れる(江戸)
「仕事の失敗は決して忘れちゃあいけないよ」。ありゃー、またやっちゃったぁ。

「いろはカルタ」が受け継いでいるのは、先人達の数多の失敗からの教訓です。
これらことわざが、後世に残る社会道徳として役立ってきた訳ですが、今流でいえば社会教育を「お遊び」で仕込んだのかも知れません。
現在でも研修などで役に立ちそうです。あなたも仕事で失敗した時などには、「いろはカルタ」を思い起こして、それを自らへの戒めとして行けば、きっとどこかでお役に立ちますよ。楽あれば苦あり(江戸)かな。

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