株式会社ヤブシタエンジニアリング様
ビデオ会議・Web会議 構築・運用サービス導入事例
高品質なWeb会議サービスを基盤とした遠隔作業支援システムを構築し現場業務の効率化や技術者の育成に活用
青森県内を中心に給排水設備や空調設備などの工事を手掛ける株式会社ヤブシタエンジニアリング。同社は三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)のビデオ会議・Web会議構築・運用サービスを基盤とした「遠隔作業支援システム」を構築しました。これにより、現場の作業者が装着したウェアラブルデバイスのカメラ映像を、事務所等にいる工事管理部の担当者がリモートで確認し、作業者に対して的確な指示を出せるようになりました。同社では、遠隔作業支援システムを、人手不足の解消や技術者のスキル向上の切り札として、設備工事やメンテナンス等の業務に活用しています。
代表取締役
外崎 匡洋 氏
取締役
工事管理部部長
白戸 克幸 氏
工事エンジニア部
課長
工藤 和人 氏
導入背景
環境整備と社員の育成に向けて遠隔作業支援システムの構築を検討
ヤブシタエンジニアリングは、建設業を中心としたヤブシタグループの一員として、給排水・衛生設備、消火設備、空調・換気設備、融雪・暖房設備等の工事や、メンテナンス・改修工事を青森県を中心に東北全域で手掛けています。主にハウスメーカーやゼネコンの一次下請けとして建築物の設備工事一式を請け負い、パートナー企業と連携しながら各種工事やメンテナンスを実施しています。
ヤブシタエンジニアリングでは、現場で作業を行う工事エンジニアリング部と、現場の作業者に対して指示やチェックを行う工事管理部があり、両者が連携して作業を行っています。しかし、すべての現場に両者が行くことは効率的ではありません。代表取締役の外崎匡洋氏は次のように語ります。
「建設業界は、深刻な人手不足が続いており、業務効率化は喫緊の課題です。作業者だけが現場に出向き、工事管理部はリモートから指示やチェックができれば、現場までの移動時間が削減され、大幅に業務を効率化できます」
また、遠隔作業支援システムの導入により、同社のブランド力向上にもつながると話します。
「私が知る限り、青森県内で導入している同業他社はなく、他社に先駆けて活用を開始することで差別化にもつながると考えました」(外崎氏)
選定ポイント
音声で操作するウェアラブルデバイスとWeb会議システムを組み合わせて構築
遠隔作業支援システムの導入を検討したヤブシタエンジニアリングは、ヤブシタグループの基幹システム、サーバー機器、PC機器等の導入を支援してきたMINDに相談。MINDが提供しているビデオ会議・Web会議構築・運用サービスを活用することで、システム化が可能であるという提案を受けました。
「MINDの説明を聞いた時、直感的に“これは面白い”と思いました。当社では以前からLINEのグループ機能を使って現場の写真や状況をメンバー間で共有してきました。遠隔作業支援システムのデモを見たところ、現場のカメラ映像をほぼリアルタイムで共有できるだけでなく、映像が鮮明で機器等の型番まで確認することができました」(外崎氏)
今回同社が導入した遠隔作業支援システムは、音声のみで操作できるカメラ付きのウェアラブルデバイスと、高品質・セキュアなWeb会議システム(Cisco Webex)を組み合わせて構築。ウェアラブルデバイスは、屋外等のハードな環境で利用することも考慮して、様々な機器を比較検討した結果、音声認識率が高く、防水・耐衝撃性に優れている機器を採用しました。
導入期間は、ネットワーク環境の構築も含めて約2ヵ月。本稼働前には操作マニュアルを整備し、想定される利用者に対して講習会を実施しました。取締役で工事管理部部長の白戸克幸氏は「MINDにはシステムとネットワークの構築から、操作マニュアルの作成、講習会まですべて支援していただきました。講習会は作業者と管理者が受講し、短時間で操作を覚えることができました」と振り返ります。
導入効果
エアコンの試運転業務で利用開始機械修理、改修工事での活用も検討
遠隔作業支援システムは、2023年2月に本社から車で1時間ほどの場所にあるゴルフ場のクラブハウスに設置したエアコンの試運転の業務で活用しました。通常なら工事管理部も同行するところを、作業者1名だけが現場に行って試運転を行いました。作業を担当した工事エンジニア部 課長の工藤和人氏は次のように語ります。
「エアコンの排水機能を確認するため、高所に登って実際に水を流す作業があります。その場合も両手が空いた状態で作業ができ、大きな負担になりませんでした。ウェアラブルデバイスによる声の操作も、マイクに“ズームレベル1~5(5段階)”と呼びかければカメラは自動的にズームイン、ズームアウトが簡単に操作することができました。現場と事務所間の会話もスムーズで、声が聞き取りにくいといったこともありませんでした」
事務所にいる工事管理部では、現場から送られてくる作業者と同じ目線の映像を見ながら指示を出し、排水機能の試験から、温度測定の試験、配管の整備状況、塗装等の外観チェックまでを確認しています。
「映像が非常に鮮明で、配管や塗装の色まで確認することができました。映像はPCに録画することもでき、後からの確認も簡単です」(白戸氏)
同社では今回の実績をもとに、今後も設備工事やメンテナンスの業務に活用していく方針で、様々なシーンを想定しています。
「緊急を要する修理での早期の情報共有、作業者への危険が伴うポンプの改修工事、お客様に物件を引き渡す前の社内点検など、現場業務のあらゆる場面での活用が考えられます。映像はスマートフォンからでも確認ができるので、場所や時間に縛られることもなく、効率的に対応することができると思います」(白戸氏)
今後の展望
施工品質の向上を実現し高度な技術力を対外的にアピール
遠隔作業支援システムの導入により、業務効率化と社員の技術レベルの向上ができることを確認。加えて、施工品質の向上も実現し、同社の技術力のPRにつながることが期待されています。
「施工品質の向上により、最終的にはゼネコンやハウスメーカーなど取引先のブランド力の向上にも貢献することができます。また、当社の技術力を対外的にアピールすることで、技術者の採用や事業の拡大にもいい影響を与えることができればと思っています」(外崎氏)
2023年4月には、遠隔作業支援システムにて使用しているWeb会議システムをヤブシタグループの経営会議で活用しました。グループの拠点がある北海道、東京、青森をつないで快適なWeb会議を実現しています。「これまで使っていたWeb会議システムと比べて音声が途切れることがなく、品質の高さを実感しました」と外崎氏は語ります。今後は、ヤブシタグループ内でも、用途に応じて遠隔作業支援システムを採用する企業が増えてくることが期待されています。
同社においては今回構築したシステムの基盤を活用して、現場と事務所をつないでそれぞれでタブレット端末上に設計図面、施工図面を共有しながら作業を進めることも構想しています。これにより、さらなる業務効率化が実現できる見込みです。
「様々な将来構想に向けて、まずは遠隔作業支援システムの活用レベルを高めていくことが課題です。システムのメリットを現場が理解し、社員全員が工事やメンテナンスで当たり前のように使えるようにしていきます。遠隔作業支援システムは、今後もバージョンアップを重ねて進化を続けていくと思いますので、MINDには継続的な技術提供と活用レベルを高めるための支援を期待しています」(外崎氏)
ヤブシタエンジニアリングは、設備工事会社としての環境整備と社員の育成に全力を尽くし、地域社会になくてはならない存在を目指していきます。