株式会社 外林様

データ分析フレームワーク AnalyticMart導入事例

全国ネットワークを築く菓子卸グループがExcel アドインのBI ツールを使ってデータドリブン経営を17年以上実践

広島県福山市に本社を置き、全国でお菓子の卸売業を展開する株式会社外林。同社は、販売データや物流データを分析し、経営に活かすことを目的に、2006 年に三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)のデータ分析フレームワーク「AnalyticMart(アナリティックマート)」を導入して以来、17 年以上にわたって利用し続けています。中でも、Excelライクに手軽にデータ集計や多次元データ分析ができるBIツール「DIAOLAP for Microsoft Excel」(以下、DIAOLAP)を評価。現在は、12 社の卸売業者で形成する「エヌエスグループ」の会員企業にも分析基盤を提供し、グループ会員企業も含めデータドリブン経営を実践しています。

株式会社 外林様

取締役
執行役員システム本部長
吉原 慎二 氏

システム本部 企画係
課長
寺西 秀則 氏

導入背景

現場が自ら情報を抽出・加工できる分析基盤としてAnalyticMartを採用

2023年に設立50周年を迎えた外林。全国のお菓子メーカーの商品を、小売業に橋渡しする「卸売業」を主体としながら、メーカーとしての顔も併せ持ち、100円均一菓子シリーズ「自然味良品」「個食美学」などのプライベートブランド(PB)商品を企画・開発しています。

外林は、傘下に3つの営業会社と、物流会社、システム開発会社、PB 商品の開発会社などの関連会社を持ち、グループ一体で事業を推進しています。取締役執行役員システム本部長の吉原慎二氏は「物流センターの増設やM&Aなどにより2023年度決算で売上高893億円を達成し、中期目標の1年前倒しで計画が推移しています」と語ります。

同社の強力な販売力、売場提案力、PB商品の開発力を、データ分析の側面から支えているのが、2006年から使い続けているデータ分析フレームワーク AnalyticMartです。当時の状況を吉原氏は次のように振り返ります。

「導入以前は過去の実績データを、基幹システムのデータベース上に累積していたためにデータ量が膨大となり、基幹システムのパフォーマンスに影響を与えていました。そこで、実績データを外部の専用データベースに移行したいと考えたのがきっかけです」

とはいえ、高機能すぎるデータウェアハウス(DWH)や分析ツールでは、現場が使いこなせないと判断した同社は、容易に扱える分析基盤を検討。複数の製品を比較した中から、株式会社ビーシーシーが提案したAnalyticMartを採用しました。

「決め手は、Excel にアドインして使えるDIAOLAPです。データ分析に精通していない現場の担当者でも、Excelのピボットテーブルでデータ集計できる知識さえあれば使えるのは大きなメリットでした」(吉原氏)

選定ポイント

便利なツール集を提供するなどAnalyticMartを17年以上活用

同社はAnalyticMartを導入後、幾度かのシステム更新を行いながら、17年以上利用し続けています。利用し続ける理由を吉原氏は次のように語ります。

「現状に満足しており、他の製品に乗り換える理由が見つかりません。また、すでに現場向けに便利なツールを数百本開発しているため、既存の資産を活かす意味でも乗り換える選択肢はありませんでした」

同社では、AnalyticMartを導入以来、基幹システムと連携して定型帳票が出力できるツールから、利用者が項目を追加して自由に分析できるツールまで、幅広いツールを開発し、利用者へ提供しています。これらのツールについて、システム本部 企画係 課長の寺西秀則氏は次のように語ります。

「採算管理、欠品分析などシンプルに分析できるものから、利用者が得意先やメーカーなどを指定するだけで見たい実績が出せるもの、基幹システムと連携してグループ全体の実績が出せるものまで多種多様なツールがあり、これらがなければ業務が回らなくなっています」

AnalyticMartの具体的な使い方は、基幹システムと連携し、基幹システム内に分析メニューを組み込んでいる「定型業務」と、業務部門がDIAOLAPのひな型を作成して独自に分析する「非定型業務」の2つに大別されます。

「定型業務では、営業部門が得意先別、メーカー別、商品別の売上や粗利、欠品などを分析して得意先への提案に利用する用途で利用しています。物流部門は商品の在庫量、出荷量などを分析して倉庫のレイアウトを変えたり、人気商品を発注したりする用途で利用しています。非定型業務では、支店やグループの管理部門などが、『この商品はどこで買えますか?』といったお客様からの問い合わせ対応や、商品回収時の販売店舗確認などで利用しています」(寺西氏)

こうした非定型業務で利用するDIAOLAPのひな型は、社内イントラ上に「便利なツール集」として提供しています。利用者は、その中から使いたいものを利用することができます。

「利用者からひな型を作って欲しいという要望が多く寄せられているため、外林共通のツール集を用意して、ひな型の項目を変えるだけで、簡単に活用できる環境を用意しました」(寺西氏)

AnalyticMartによる分析基盤に対して、利用者からの反応も概ね良好で、システム本部が実施したアンケートでは「過去の実績を簡単に出力できる」「必要な情報がすぐに確認できる」「Excel データで加工がしやすい」「ひな型があれば、簡単に欲しい情報が引き出せる」「データ資料が作りやすい」「お客様からの問い合わせにもすぐに回答できる」などの声が寄せられています。

導入効果

グループの会員企業にもデータ分析環境を提供

AnalyticMartは現在、外林グループの関連会社の営業部門、管理部門、物流部門だけでなく、エヌエスグループの会員企業12社にも提供しています。エヌエスグループでは、参画企業や関連会社などが、共同でPB商品の開発・販売、物流、システム開発、海外商品の開発・輸入・販売、各メーカーの商品販売などを行っています。

そのため、AnalyticMartには、外林グループの基幹システムだけでなく、エヌエスグループの会員企業の基幹システムのデータも取り込み、外林グループの業務担当者や、エヌエスグループの会員企業の担当者がDIAOLAPを利用して分析しています。AnalyticMartに蓄積されているデータは、外林グループとエヌエスグループをあわせて約8億件にのぼります。

「AnalyticMartには外林グループとエヌエスグループの基幹システムのデータとPOSデータを集約していますが、情報閲覧や分析については権限を設定し、全体の実績が閲覧・分析できる本部部門と、特定領域の実績が閲覧・分析できる業務部門などに分けています。エヌエスグループの会員企業には、それぞれに対して自社の基幹システムのデータだけしか分析できないようにして独立性を維持しながら運用しています」(寺西氏)

今後の展望

分析に対するリテラシーが向上し業務を数字で捉える意識が定着

外林がAnalyticMartを導入してから17年以上が経過しました。ビーシーシーのサポートもあり現場の利用者には、自らデータを加工し、分析するといったリテラシーが向上し、業務を数字で捉える意識が定着しました。情報システム部としても、データ抽出・加工に関する作業負荷が減り、本来の業務である基幹システムの開発や改善に集中できるようになりました。

「現場レベルで様々な分析や、お客様への回答などができるようになったことが一番の成果です。エヌエスグループの会員企業にとっても、自前で分析ツールを揃える必要がなく、売上などの分析が自由にできる点においてもメリットを感じてもらえていると思います」(吉原氏)

同社では今後もマスタの更新履歴など多くの種類のデータをAnalyticMartに取り込みながら、分析の範囲を拡大していく予定です。

「例えば、物流センターで発生する入荷遅れのデータを分析してメーカーとの交渉材料にすることや、物流センターの従業員の作業量・作業実績・作業時間といった日々の作業で発生するデータを分析してより適切な人材配置を実現するなど様々な用途が考えられます。最終的には基幹システムと同等のデータをAnalyticMartに蓄積して分析範囲を拡大することが目標です」(吉原氏)

「お菓子でつながる、笑顔ひろがる」をモットーとする外林は、引き続きデータ活用のレベルを高めながら、人々の健康と幸せに貢献する商品を届けていきます。