三菱電機株式会社 宣伝部様

グローバルウェブサイト統合基盤導入事例

グローバルウェブサイト統合基盤の構築によりビジネスに貢献するプラットフォームの迅速な提供と運用の効率化を実現

グローバルで事業を展開する企業において課題となるのが、オフィシャルウェブサイトの管理です。サイトの運営をグループ各社がそれぞれ実施した場合、管理レベルに差が生じてしまいがちです。三菱電機グループのオフィシャルウェブサイトの企画・開発・運用を統括する三菱電機株式会社 宣伝部は、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)の支援を受け、グローバルウェブサイト統合基盤を構築。管理レベルの均質化を図ると共に、ビジネスに貢献するプラットフォームの迅速な提供と運用の効率化を実現しました。

三菱電機株式会社 宣伝部様

宣伝部 ウェブサイト統括センター
センター長
石塚 健彦 氏

宣伝部 ウェブサイト統括センター
専任
安田 忍 氏

導入背景

グループ会社のウェブサイトを個別管理から集中管理へ

重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システムなどの事業を展開する三菱電機において、オフィシャルウェブサイトは企業の顔として重要な役割を担っています。国内外のグループ会社を合わせたオフィシャルウェブサイトの訪問者数は月間374万人、PVは月間1,890万(いずれも2018年3月時点年間平均)に達します。

「オフィシャルウェブサイトの役割は、企業ブランド価値の向上と、事業目標の達成の支援です。常に最新の理念やソリューションを取り入れ、サイトオーナーの目的を最大限達成できるよう支援をしています」と宣伝部 ウェブサイト統括センター センター長の石塚健彦氏は語ります。

三菱電機が自社サイトを公開したのは1995年のことでした。2001年には全社統合オフィシャルウェブサイトとしてリニューアル。以来、同社宣伝部がサイト運営を統括しています。2009年から2011年にかけては、サーバー仮想化技術を用いたウェブサイト統合基盤を構築し、国内のグループ会社が共通のインフラリソースやツールを使えるようにしました。

その後、2014年から2016年にかけて海外の31か国1地域、51サイトのコーポレートサイトを構築。2015年からはグローバルに拡張したウェブサイト統合基盤の構築に着手しました。

「従来は、グループ会社が自社でサーバーを用意して運用していました。そのため、企業規模等によってセキュリティー対策や管理レベルにバラツキが生じていました。これらの課題を解決するため、国内外のグループ会社のウェブサイトを統合する基盤を構築し、セキュリティー強化や運用の効率化などを進めることにしました」(石塚氏)

選定ポイント

大規模プロジェクトのワンストップ対応と実績を評価

グローバルウェブサイト統合基盤の構築に際して、必要に応じて柔軟に拡張縮退できることから、クラウドサービスの活用を決断。アプリケーション基盤、セキュリティー基盤、運用サポート体制などの基本設計を経て、導入ベンダーの選定に入りました。その中で、2001年から行っている宣伝部オフィシャルサイトの運営支援実績と、総合的なインテグレーション力を評価して、MDISをパートナーに選定しました。宣伝部 ウェブサイト統括センターの安田忍氏は次のように語ります。

「グループ会社やクラウドベンダーなどと協力して、インフラからミドルウエア、アプリケーション開発、保守運用までワンストップで対応する提案を評価しました。IT部門ではない宣伝部が主体となり基盤を運用しているため、ITに精通しているMDISが一括で対応できる事が重要であると考えています」

プロジェクトは2015年10月からスタートし、2016年12月にグローバルウェブサイト統合基盤の構築を完了。構築と並行してオンプレミスで運用していた宣伝部の旧サーバー上のサイトをクラウドベースの新サーバーに移行しました。2017年度後半からは、国内外グループ会社が外部サーバー上で運用しているウェブサイトの新宣伝部サーバーへの移行を開始しており、2018年7月時点で対象約800サイトのうち約半数の移行が完了しています。

「移行についてはサーバーの保守期間切れのタイミングなど、各社の事情に合わせて進めています。EUのGDPRに対応した移行方法の準備も進め、2019年度には中国のサイバーセキュリティー法対応を実施予定のため、これらの規制に該当するサイトも順次移行していきます」(石塚氏)

導入効果

各社のニーズに対応し事業に貢献する基盤を迅速に提供

海外を含むグループ各社が共通で使えるグローバルウェブサイト統合基盤の構築により、用途に応じたサービスを柔軟に提供できるようになりました。クラウドを利用した統合基盤は、必要なOS、ミドルウエア、アプリケーションに合わせてSaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)の選択が可能で、ウェブサイトで会社概要や製品情報のみを公開したいところから、自社で機能を追加して固有の作り込みをしたいところまであらゆるニーズに対応します。

セキュリティー強化としては、共通プラットフォーム上に外部からの不正なアクセスを検知して攻撃を防ぐIPS(Intrusion Prevention System)とWebアプリケーションの脆弱性を突いた攻撃を検知、遮断するWAF(Web Application Firewall)を新たに導入しました。また、アクセスログの収集・保存に関するポリシーを設定し、一元的に管理する仕組みを導入。さらにネットワークセグメントを環境や機能単位で細分化することで、環境間で影響を与えることがないようにセキュリティーの高度化を図っています。

運用面についてはオープンソースのツールを採用して低コストで自動化環境を構築。サービス利用者からの設定変更や、セキュリティーパッチの適用、障害発生時の対応などが自動でできるようにしました。

「グローバルサイトの場合、時間や言葉も異なる数百のサイトを運用しなければなりません。そこで、グループ各社のシステム運用を統合して、24時間365日の日英対応を行う『システム運用センター』を新たに設けています。サーバーのリダイレクトやサーバー設定などの定型作業については24時間365日対応のオペレーションセンターで対応し、システムの不具合やサイト障害など非定型の作業についてはMDISのSEが常駐するテクニカルセンターで対応しています。システム運用センターを構築したことで、スピーディーに対応できるようになりました」(安田氏)

クラウドベースのグローバルウェブサイト統合基盤により、各サイトのリソース調達は飛躍的に早くなると共にサービスレベルの均質化が実現しています。「ユーザーからの要求に対して、2週間程度でサービスが提供できます。サーバー調達から始めて数か月はかかるオンプレミスと比べると、大幅な短縮になりました」と安田氏は話します。

運用コストも大幅な削減が実現する見込みで、石塚氏は「国内外のグループ会社のウェブサイトの移行が完了する2022年時点で三菱電機グループのウェブサイトのインフラ運用コストの30%の削減を見込んでいます」と語ります。

さらに、統合基盤を効率的に運用できることはグループ各社にとってもメリットは大きいといいます。

「ウェブサイトの公開に必要な機能をすべてメニュー化しているので、従来のように個別の見積もりや打ち合わせが不要になりました。また、グループ各社からの機能追加要求に対しても、最新技術を使って迅速に応えられます」(石塚氏)

今後の展望

デジタルマーケティング技術を活用しさらなる企業ブランド価値向上へ

今後については、外部サーバー上のウェブサイトを新基盤に移行する作業と並行して、各事業部のデジタルマーケティングとの連携を検討しています。例えば、会員制サイトの情報を活用してウェブサイトに表示するコンテンツの内容をユーザー特性に合わせて表示したり、会員の関心に合わせて製品やサービスをレコメンド(お薦め)したりすることを想定しています。

さらなる構想として、AI(人工知能)によるコンテンツ・コンテキストの最適化を目指したシステム開発プロジェクトの開始や現在一部での利用に留まっているデータ解析を、新たなツール導入とともに本当に使えるデータを得て、宣伝施策改善に役立てる取り組みを進めています」と石塚氏は語ります。

三菱電機宣伝部は、グローバルウェブサイト基盤のさらなる進化を通して、三菱電機グループのグローバル戦略を支援していきます。