三菱電機株式会社 プロセス・オペレーション改革本部様

電子取引サービス @Sign導入事例

脱ハンコ&ペーパーレス化に向け電子取引と電子日付印を導入業務効率化と働き方改革を推進

三菱電機株式会社および関係会社では、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに全社的な脱ハンコ&ペーパーレス化活動「ZIPプロジェクト」(Zero Inkan , zeroPaper)に取り組んできました。ZIPプロジェクトでは、三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)が提供する電子取引サービス「@Sign」を使った電子契約「MELGIT-sign」と電子日付印「MELGIT-stamp」を導入することで、従来出社が不可欠だった業務をリモートワークで遂行できるようにしました。また、契約業務に要する時間を大幅に短縮したほか、技術文書への電子日付印付与による技術コンタミネーションの防止などにも活用されています。

三菱電機株式会社 プロセス・オペレーション改革本部様

杉田 雅人 氏

プロセス・オペレーション改革室
改革戦略部 専任
全社業務改革担当マネージャー
杉田 雅人 氏

石村 乃介 氏

プロセス・オペレーション改革室
改革戦略部 専任
全社業務改革担当マネージャー
石村 乃介 氏

藤原 秀明 氏

プロセス・オペレーション改革室
改革戦略部 専任
全社業務改革担当マネージャー
藤原 秀明 氏

高原 徳文 氏

プロセス・オペレーション改革室
改革戦略部 専任
全社業務改革担当マネージャー
高原 徳文 氏

導入背景

脱ハンコ&ペーパーレス化実現に向けた「ZIPプロジェクト」を実施

三菱電機の全社的な脱ハンコ・ペーパーレス活動である「ZIPプロジェクト」(Zero Inkan ,zero Paper)は2020年にスタートしました。プロセス・オペレーション改革室 改革戦略部専任 全社業務改革担当マネージャーの杉田雅人氏はその背景を次のように語ります。

「コロナ禍前より業務効率化のテーマとしてペーパーレス化に取り組んできましたが、2020年のコロナ禍によってリモートワーク対応を含む働き方改革が急務となりました」

当時は多くの申請や稟議において紙の書類を回付し、印鑑を押す手続きが必要でした。この押印のためにリモートワークが制限されているケースがあったといいます。

「ZIPプロジェクトでは、まず申請書などの回付・押印作業をデジタル化することで、リモートワーク環境の整備と合わせて、業務効率化を推進しようと考えました」(杉田氏)

そのために新しいワークフローシステムを導入、各部門が自らの手で書類の回付・押印が必要な業務を電子化できるようになり、リモートワークが可能な業務範囲が拡がりました。

選定ポイント

他社との契約業務に電子契約を導入

次のステップとして2021年に取り組んだのが、契約業務における電子契約の導入でした。ワークフローシステム導入後も、他社との契約業務では、紙の契約書作成や押印、送付のために出社が必要でした。プロセス・オペレーション改革室 改革戦略部 専任 全社業務改革担当マネージャーの石村乃介氏は電子契約導入の経緯を次のように語ります。

「以前から電子契約について検討はしていましたが、コロナ禍によって導入が加速しました。当時は社会全体で電子契約の需要が高まっており、電子契約を提案したときの反応も前向きなものでした」

電子契約を導入するためには、契約文書を企業間で共有し、それに電子署名を行う仕組みが必要です。様々な選択肢を検討した結果、MINDが提供する電子取引サービス「@Sign」を利用することにしました。自社開発ではなくMINDのクラウドサービスである@Signを利用した理由を、杉田氏は以下のように語ります。

「今回の電子契約化対応に限らず、業務DXの推進においては、施策の導入・展開が迅速にできることや、また将来にわたるサービスの維持管理や機能拡張への追随を考慮すると、業界標準的な外部サービスの活用を図っていくべきとの考え方から判断しました」

立会人型、当事者型の両方が使え電帳法にも対応していることを評価

電子契約サービスとして@Signを採用した理由を石村氏は次のように語ります。

「 “立会人型”と“当事者型”の両方の署名方法に対応していることがポイントになりました」

現在主流となっている立会人型は、利用者が自分で電子証明書を用意する必要がなく、手軽に利用できます。一方、当事者型は、両社が自分の電子証明書を使って署名をするため、より本人性の高い契約が可能です。@Signは両方の署名方法に対応しています。

また、電子契約で税法に関連する契約書を交わした場合は、契約書を電子帳簿保存法(電帳法)の要件に則した形で保存する必要があります。

「電子契約の導入にあたってはユーザー部門からも電帳法対応についての問い合わせがありました。電帳法に対応していることが選定の大きな理由の一つです」(石村氏)

最初は@Signにアクセスする形で電子契約の利用が始まりました。現在は@SignのWebAPIを利用して全社的なワークフローシステムと連携し、日常の業務画面からシームレスに電子契約が利用できるようになっています。

導入効果

契約にかかる時間を大幅に短縮。印紙税も不要に

電子契約の導入によって、リモートワークでも契約業務ができるようになったほか、契約にかかる時間が大幅に短縮されたといいます。

「契約書をアップロードして必要な設定をした後は、システムが自動的に担当者宛にメールを送信して、契約業務を進めてくれます。紙の契約書をやり取りするのに比べ、大幅な省力化と迅速化を実現しています。例えば、以前の紙の契約書では、契約締結まで数日かかることもありましたが、電子契約導入後、ある契約書は30分程度で契約締結が完了しました」(石村氏)

また、電子契約では印紙税が不要になることも見逃せないメリットです。同社では、導入初年度は約2,500件の電子契約が実行されました。

さらなるペーパーレス化に向けて“電子日付印”を導入

2022年には、紙文書の日付印に相当する機能を、電子署名とタイムスタンプによって実現しました。プロセス・オペレーション改革室 改革戦略部 専任 全社業務改革担当マネージャーの藤原秀明氏は、「これにはユーザーからの要望があった」と振り返ります。

「従来、技術文書や社内向けの書類などには照査済や確認済であることを示す日付印を押していました。この日付印に相当する証跡が残せないと、これ以上のペーパーレス化はできないという声がユーザーから寄せられました」

そこで、文書ファイルそのものに対して電子署名とタイムスタンプをつけることによって文書単体で本人性と非改ざん性、いつ押印されたかの存在証明が行えるようにしました。

この“電子日付印”にも@Signが採用されました。

「必須要件として、検認の本人性と検認後の非改ざん性を担保すること、そのために、文書自体に個人の電子署名とタイムスタンプを付けられることがあり、@Signはどちらも満たしていました」(藤原氏)

技術コンタミネーションの防止にも効果

導入後1年未満で電子日付印の利用は1万件に達しました。利用状況についてプロセス・オペレーション改革室 改革戦略部 専任の高原徳文氏は次のように語ります。

「導入以降、様々な用途に活用されています。例えばISO9001の品質活動計画や教育記録、発注の際に部内で運用されている発注書などです。証跡としての機能はもちろん、リモートワークでも日付印が押せるようになったメリットは大きいです。書面上に目に見える印影が残せる点も好評です」

また、技術文書へ電子日付印を押すことは、共同開発などで他社の情報と自社の情報が混ざり合ってしまう「技術コンタミネーション」を防ぐ有効な手段になるといいます。

現在は@SignのWeb画面で操作していますが、将来はワークフローシステムとAPI連携させることで、より手軽に電子日付印が使えるようにする予定です。

今後の展望について杉田氏は次のように語ります。

「電子契約やタイムスタンプは業務のデジタル化を推進していくためには欠かせないサービスであると考えています。業務効率化の効果はもちろん、業務プロセスを電子化された証跡としてきちんと残していくことで監査対応効率化や業務品質向上に役立ちます。今後もより良いサービスへ機能改善をしつつ電子契約やタイムスタンプの利用を広げていきたいと思います」

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