本田技研工業株式会社様

パブリッククラウド導入・運用支援サービス for Amazon Web Services(AWS)導入事例

AWS上で稼働するコーポレートサイトの24時間365日の監視・運用体制の確立により快適で安定したWeb閲覧環境を提供

「The Power of Dreams」をスローガンに、二輪、四輪、パワープロダクツなどの事業を展開する本田技研工業株式会社(Honda)。同社のWebサイトの基盤は、長年にわたりオンプレミス環境で運用してきました。しかし、災害時においてもより安定したサービスを提供するため、柔軟にシステム基盤が拡張できるAmazon Web Services(AWS)への移行を決断。三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)の支援を受けて、AWSと閉域接続するためのサービス「CloudMinder(クラウドマインダ―)」を用いて大規模な移行と移行後も24時間365日の監視・運営体制を確立し、安定的な運用を続けています。

本田技研工業株式会社様

ブランド・コミュニケーション本部
広報部 Web・社内広報課
主幹
治部袋 賢治 氏

ブランド・コミュニケーション本部
広報部 Web・社内広報課
主任
谷口 慎介 氏

ブランド・コミュニケーション本部
広報部 Web・社内広報課
主任
石橋 直正 氏

導入背景

オンプレミスで運用してきたWebサイトのAWS移行を決断

「人間尊重」と買う喜び、売る喜び、創る喜びの「三つの喜び」を基本理念に、常に時代に先駆けた挑戦を続けるHonda。現在、未来の姿を踏まえた「2030年ビジョン」を掲げ、多岐にわたるモノづくりの力、世界の顧客・市場基盤、ソリューション創出力の3つを活かした「モノづくりの進化とコトづくりの統合」を進めています。

Hondaの情報を発信するWebサイトは、広報部のWeb・社内広報課が統括し、ガバナンスやセキュリティを維持・管理しています。四輪車や二輪車だけでなく、耕運機、発電機などのパワープロダクツ、小型ジェット機の「HondaJet」、「ASIMO」に代表されるヒューマノイドロボット、さらには四輪と二輪のモータースポーツ活動を展開する同社にはレースレポートをはじめとした多種多様なコンテンツがあります。

そのため、サイトごとにコンテンツオーナー(事業部の担当者)を置き、それぞれがお客様に最適化したコンテンツを独自に企画・制作する分業体制を取っています。コンテンツオーナーの数は現在100人以上で、制作会社まで含めると1,000人以上に達します。広報部 Web・社内広報課 主任の谷口慎介氏は「現在、国内サイトだけで700を超えるコンテンツがあり、ページ数はかなりの数に及びます。コンテンツの数、データ容量ともに増加傾向にあります」と語ります。

Web、メール配信、コンテンツ管理システム(CMS)などWebサイトに必要なインフラは、従来はMINDデータセンターのオンプレミス環境で運用してきました。しかし、オンプレミスではサーバーやストレージのリソース増強が容易ではありません。また、災害時においてもより安定したサービスを提供するために2016年1月頃からパブリッククラウドへの移行を検討し、AWSの採用を決めました。広報部 Web・社内広報課 主任の石橋直正氏は「大規模災害が発生した際、Webサイトからの情報発信を停滞させないためにも、クラウドサービスに移行してデータセンターを分散することがベストであると判断しました。その中で、当社の他の部門で導入実績のあったAWSの採用を決めました」と振り返ります。

選定ポイント

これまでの監視・運用実績とセキュアに移行できるサービスを評価

WebサイトをデータセンターからAWSに移行する上で、新たな課題として浮上したのはサーバーの監視・運用体制です。インフラをAWSに切り替えたとしても、24時間365日の監視対応は従来通り不可欠です。そこでHondaは、オンプレミス時代からサーバーの監視を委託していたMINDを引き続き採用することを決定しました。

「MINDには2000年頃から16年以上にわたってデータセンターの運用とサーバーの監視をお願いしてきました。その間、安定稼働の支援を続けてきた実績があり、HondaのWebサイトの置かれている状況やニーズもよく理解しています。また、AWSでの監視等のノウハウもあり、MINDにお願いすることを決めました」(谷口氏)

MINDの採用において決め手になったのが、データセンターとAWS間を専用線で高品質でセキュアに接続するサービス「CloudMinder」を提供していたことでした。

「当初は、全サーバーをAWSに移行する計画でしたが、ライセンスコストに関する課題がある一部のシステムは、データセンターに残すことにしました。そこで課題となったのがデータの移行とハイブリッドで構成する際の接続方法です。インターネット経由での接続ではセキュリティ上の不安があります。解決方法を模索している時にMINDからパブリッククラウド閉域接続サービスのCloudMinderの紹介を受けたことが採用の後押しになりました」(石橋氏)

AWSの監視・運用環境の基本設計は、2016年8月から着手。同年10月から2017年2月にかけて詳細設計および環境構築を行い、3月から5月にかけてテストを実施。2017年6月にはWebサイトのインフラをオンプレミスからAWSに切り替え、新たな環境での運用を開始しています。データセンターからAWSへのデータの移行に際しては、両者を専用線で接続するCloudMinderを活用し、約2週間の短期間で作業を終えています。当初のAWSとデータセンターのハイブリッド構成とする計画は、該当するシステムを入れ替えることでAWSに一本化する目処が立ったことから、最終的にはAWSだけで運用しています。

導入効果

MIND ICCにおいて24時間365日体制で監視

現在、Webサイトのインフラ基盤の監視・運用は、MIND統合運用管制センター(MIND ICC)で24時間365日の体制で行われています。MINDが設計・構築した監視ツールに加えて、AWSのリソースモニタリングツール「Amazon CloudWatch」を利用して、AWS上で稼働しているシステムの稼働状況とリソースを定常的に監視。障害を検知した際はMIND ICCから広報部にメールやビジネスチャットを介して障害の内容を通知し、必要に応じてAWSの導入SIerとMINDが協力して対応箇所の特定から障害復旧作業までを行います。

「現在、AWSに移行してから約1年が経ちますが、大きなトラブルは発生することなく、安定運用を続けています。レースの翌日などにはWebサイトへのアクセスが増加しますが、レスポンスに影響を与えることもありません」(谷口氏)

Webサイトの安定運用が実現したことについて広報部 Web・社内広報課 主幹の治部袋賢治氏は次のように話しています。

「世界のHondaのお客様はもちろんのこと、Hondaに関心を持った一般の方が訪れるコーポレートサイトは、企業の顔としてダウンすることは許されません。24時間365日止まらない環境が求められる中、AWSに移行して災害対策が強化され、MINDの監視・運用サービスで安定的な稼働が実現していることは、広報部にとって大きな意味を持ちます」

今後の展望

バックアップデータの取得など定常的な業務の移管を検討

AWSへの移行後もMINDとは月例定例会を実施して、日々の運用方法をアップデートしながら、作業の効率化とサービスレベルの向上を図っています。

今後の取り組みについては、セキュリティパッチの適用、プログラムのアップデート、バックアップデータの取得などの定常的な運用業務をMINDに移管することを検討しています。石橋氏は「手順書に従うルーチン業務は、日常的な監視・運用のフローの中に組み込み、それを自動化することで運用の負荷とコストを軽減していくことを進めていきます」と語ります。

また、さらなるコンテンツ品質向上に向け、コンテンツのチェック業務なども移管することも検討しています。

Hondaは、これからも「移動の進化」と「暮らしの価値創造」を通して、すべての人に生活の可能性が拡がる喜びを提供していきます。