株式会社グランベルホテル様
ネットワーク構築・運用サービス導入事例
ホテル開業に合わせてインターネット、LAN、電話の一元管理を実現。ホテルシステムとの連携で管理業務を効率化
リゾートホテル、デザイナーズホテル、旅館等の事業を展開する株式会社グランベルホテル。インバウンド需要に向けた「京都グランベルホテル」を2017年7月にオープンするにあたり、インターネット、有線・無線LAN、電話回線などインフラ一式の構築を三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)に依頼。わずか2か月で環境を構築し、ホテル管理システムとの連携を実現しました。合わせて運用保守をMINDに切り替えたことで、電話とネットワークの運用サポート一元化を実現し、ホテルおよび情報システム部の運用負荷を大幅に軽減しました。
京都グランベルホテル
支配人
鳥海 貴義 氏
株式会社ベルーナ
情報システム本部
主任
児玉 英一 氏
導入背景
インターネット+LANと電話環境の一元管理を検討
総合通信販売を主力事業とする株式会社ベルーナのグループ会社として、ホテル事業を手がけるグランベルホテル。「その街に集うすべての人にご満足いただける、その街のスタイルホテル」をコンセプトに、渋谷、赤坂、新宿、京都にデザインを重視したホテルを展開しています。また、裏磐梯(福島県)、軽井沢(長野県)、浜比嘉島(沖縄県)では非日常型のリゾートホテル、岩手県花巻市では源泉掛け流しの温泉旅館を展開しています。
これまで同社は、ホテル建設に伴うネットワーク環境の構築と運用保守は、ネットワークと電話回線で異なるベンダーに依頼していました。そのため障害時の問い合わせが2か所に分かれ、現場のホテルでは障害対応の負荷が大きくなっていました。ベルーナ 情報システム本部 主任の児玉英一氏は「ホテルの従業員はITに精通しているわけでないので、障害の原因がネットワークによるものなのか、電話回線によるものなのか判別できません。そこで適当に問い合わせることになり、解決に時間を要していました」と振り返ります。
そこで、2017年7月に京都の祇園に「京都グランベルホテル」をオープンするにあたり、ネットワーク環境の構築と運用保守のベンダーを一本化することを決定しました。
「京都以降もホテルの建設が控えていることもあり、今後に向けた導入モデルを作ることも目的の一つでした」(児玉氏)
選定ポイント
設備工事からゼネコンと連携しわずか2か月で工事を完遂
既存のベンダーを含めて複数社を検討した中から、MINDの提案を採用しました。その理由について児玉氏は次のように語ります。
「ネットワークの要件として、インターネット、LAN、電話回線を一括して構築、運用・保守ができること、関西地区を含めて全国に拠点があり、大規模な工事に対応できること、さらにゼネコンの工事進捗を把握しながら対応できることの3つを挙げていました。その中で、総合的に対応できるベンダーとして、ベルーナのモバイル回線の構築を手がけた実績もあるMINDを選定しました」
京都グランベルホテルでのネットワークの設計は2017年5月から始まり、環境構築を経て2017年7月のオープンを迎えました。ネットワークの敷設工事には、MINDの関西支社からSEがアサインされ、設備工事の段階からゼネコンと綿密に打ち合わせを重ねることで、オープン日までの2か月で完遂しました。
構築では、マルチベンダーの観点からインターネット回線を電力事業者のプロバイダーを選定し、ネットワークは有線LANに加えて、無線LAN(Wi-Fi)も導入しました。Wi-Fiのアクセスポイントはロビーやエントランスに配置したほか、コンセントボックス型のアクセスポイントを全客室(約100室)に設置して、どこからでも快適に利用できるようにしています。客室のテレビも従来のVOD(Video On Demand)テレビからインターネットテレビに切り替え、全客室で4Kの高画質映像が見られるネットワーク帯域を確保しました。
ホテル管理システムは、実績のある既存システムを継続採用し、宿泊情報をグループで共有できるようにしました。電話回線は、ホテル管理システムの国内・国際通話、清掃状態管理、モーニングコール機能と連携しています。
導入効果
Wi-Fiの快適さが満足度向上に貢献90%以上のホテル稼働率を維持
今回の構築により、インターネット、LAN、電話回線の一元管理が実現し、問い合わせ先もMINDに一本化されました。MIND統合運用管制センターで24時間365日のサポートを受け付けているため、障害が発生したとしても迅速に対応ができます。
「従来では、障害で年に数回ほど問い合わせの電話が情報システム部門にあり、対応に半日から1日の時間を割かれていました。MINDにアウトソーシングしてからはその対応が不要になりました」(児玉氏)
今回構築したWi-Fi接続の快適さが宿泊客の満足度の向上につながっています。特にWi-Fi環境を重視する海外からの宿泊客が約8割を占める京都グランベルホテルの場合、その効果は大きいといいます。支配人の鳥海貴義氏は「海外旅行者向け口コミサイトでも当ホテルに対しては“ネットワーク環境が快適”“Wi-Fiが速い”といった投稿があるようで、顧客満足度の向上に貢献していることは間違いありません」と話します。
加えて、祇園の継承×日本クリエイティブをコンセプトに設計されたホテルの雰囲気、現代アートと和を融合させたデザイン、祇園四条駅から徒歩2分の立地などもあり、稼働率90%台をキープしています。鳥海氏は「今後もIoTによる客室のリモート管理や、無線監視カメラの導入などを通して、多くのお客様が安心・安全・快適に過ごせるホテルづくりを目指していきます」と語ります。
電話回線とホテル管理システムとの連携は、客室業務の効率化に貢献しています。従来は、モーニングコールと内線・外線の利用状況は、専用の課金管理端末を介して紙で出力し、別途ホテル管理システムに手入力していました。今回、システムと電話の一体化でこうした作業は不要になり、フロント業務の負荷が軽減されています。清掃状態管理の機能では、室内清掃を終えたスタッフが各部屋の内線電話で指定された番号ボタンを押すと、交換機経由でホテル管理システムに清掃終了と表示されるので、フロントでは新たなお客様を迎える準備が即座にできるようになりました。
今後の展望
グループの大規模ホテルに横展開し快適なネットワーク環境を構築
2018年7月に同社が軽井沢にリゾート型ホテル「ルグラン軽井沢ホテル&リゾート」をオープンした際も、引き続きMINDがネットワークから電話線の構築、運用保守を担いました。「ルグラン軽井沢ホテル&リゾートは11棟あり、基幹ネットワークの敷設作業も発生しましたが、設計から構築までMINDに任せたことで作業はスムーズに進みました」と児玉氏は語ります。
ホテルウェディングに注力している同ホテルでは、オープンから2か月ですでに40組以上が式を挙げています。結婚式や披露宴では、結婚式の様子をプロのカメラマンが撮影した写真を当日の式場で投映するサービスや、来場客がスマートフォンなどで撮影した写真のSNSへのアップロード、来場客の待ち合わせ時間中のWebアクセスなど多くのネットワークアクセスが発生しますが、ネットワークに関する満足度は高いといいます。
今後MINDに期待することとして児玉氏は次のように話します。
「今回、ホテル事業でネットワークの設計、構築、運用のアウトソーシングが実現し、ホテル事業部は本来の企画業務に専念することができました。今後はベルーナグループに対してもMINDから様々な提案が寄せられることを期待しています」
グランベルホテルは、「FUN TO STAY」のコンセプトのもと、その地域、その季節にしか味わえない非日常空間をこれからも提供していきます。
2018年9月18日取材