フュージョン株式会社様

データ分析フレームワーク AnalyticMart導入事例

流通事業者向けPOSデータ開示サービスの基盤に高速分析を実現するデータウェアハウスを採用。データに基づくマーチャンダイジング戦略を推進

戦略策定から会員・購買データ分析、クリエイティブ制作、効果測定までダイレクトマーケティングに関わるあらゆる業務をサポートするフュージョン株式会社。同社は、2005年から流通事業者向けにASP型POSデータ開示サービス「MDパートナー」の提供を開始。その基盤には三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)のデータ分析フレームワークAnalyticMart(アナリティクマート)が採用されています。大量のPOSデータを高速に分析することで、メーカーや卸売業者に有用な情報を提供し、小売業者のマーチャンダイジング戦略を支援しています。

ASP:Application Service Provider、ソフトウェアをインターネット経由でサービスとして提供すること
POSデータ:Point Of Sales Data、商品バーコードを読み込むことで得られる販売情報

フュージョン株式会社様

執行役員
営業グループ長
花井 優樹 氏

企画・推進グループ
企画・推進1部
シニアアカウントエンジニア
平井 正幸 氏

導入背景

メーカー・卸売業者にPOSデータを公開
小売業者の効果的な売場展開を支援

「企業と生活者の距離を縮め、双方が価値や喜びを共有できる社会の発展に貢献する」をミッションに、総合マーケティングサービスを提供するフュージョン。同社は、大手スーパーマーケットやe-コマースサイトなどの小売業者に対して、新規顧客獲得プロモーションや、既存顧客の拡販施策、購買行動を踏まえたダイレクトメール施策、販促キャンペーンなどの企画立案から実施、ポイント会員管理システムの提供などを行っています。執行役員 営業グループ長の花井優樹氏は「コンサルティングからリサーチ、プロモーション、システムまでのすべてのプロセスをワンストップで提供できるのが私どもの特長です」と語ります。

同社の数あるサービスの中で、購買データに基づく説得力のあるマーチャンダイジング(MD)をサポートするソリューションが、ASP型のPOSデータ開示サービス「MDパートナー」です。POSデータ開示サービスとは、スーパーマーケットなどの小売業者が、自社で保有するPOSデータやマーケットデータを取引先のメーカーや卸売業者に提供する有料サービスで、取引先は、提供されるPOSデータをMD計画や売り場プロモーションの策定に活用します。

これまで多くの小売の現場では、外部の事業者から購入した市場分析情報や前年の大まかな販売実績、担当者の勘や経験などに頼っていました。しかし、フュージョンでは、自店の顧客の購買履歴データに基づく売場作りが不可欠であり、メーカーや卸売業者と情報を共有し、MD戦略を推進していかなければならないといった考えから2005年にPOSデータ開示サービスの提供を開始しました。

「POSデータ開示サービスは、2005年のリリース以来、大手スーパーマーケットを中心に31社の小売業者に採用いただいています。これまで延べ数千社のメーカー・卸売業者にPOSデータを提供することで、売場作りの提案を引き出すなどデータ分析に基づくMD戦略の立案を支援しています」(花井氏)

導入効果

効果測定をすぐに実施
POSデータに基づくMD施策を実施

POSデータ開示サービスは、メーカー、卸売業者、小売業者、消費者の4者それぞれにメリットがあります。

メーカーは、データに基づく売り場展開を実施することで、自社のシェア拡大の機会が増えることになります。また、店舗別の売上を見ながら改善を提案したり、隠れた顧客ニーズを発掘して新商品の開発に活かしたりすることが可能です。卸売業者は、卸の機能を活かした販促企画の提案により、取引先のメーカーや小売業者への価値訴求が可能になります。小売業者の本部では、メーカーや卸売業者からデータ利用料を得られる他、効果的な販促企画の選択や、新たな視点での売上分析などが可能になります。小売業者の店舗側ではメーカーや卸売業者からのデータに基づく提案により訴求力のある売場展開や、売れ筋商品の充実などにつながります。結果として消費者は欲しい商品がタイムリーに購入できるようになり、買い物がより楽しいものになります。

POSデータ開示サービスの分析画面では、トレンド分析、単品店比較、単品ランキング、プライスライン分析などが利用でき、小売業者はこれらの分析結果をメーカーや卸売業者と共有しながら、MD戦略を立案し、売り場、品揃え、価格政策などを改善していきます。販促施策の基準となる52週ごとのカテゴリー動向を一覧表示で把握できるため、前年の実績に基づく新たな展開を考えることが可能です。

「導入した小売業者様からは、『施策の効果測定を販売の翌日に行うことが可能となった』『POSデータに基づくMD施策を実施でき、季節商品の展開時期が適正化された』『隠れたニーズの発見につながった』といった声をいただいています」(花井氏)

選定ポイント

コストパフォーマンスに優れたAnalyticMartを2005年から継続利用

POSデータ開示サービスは、ASP型のサービスとして小売業者に提供しています。小売業者ごとに専用の環境をフュージョンのデータセンター内に構築し、小売業者の各店舗から送られてくる日々のPOSデータや各種マスターデータをデータセンター内のデータウェアハウス(DWH)に蓄積しています。このDWHに採用されているのが、MINDのデータ分析フレームワーク AnalyticMartです。

同社は2005年のサービス提供開始時から、約15年間にわたってAnalyticMart(旧製品名DIAPRISM)を利用してきました。長期間にわたって使い続ける理由について、企画・推進グループ 企画・推進1部 シニアアカウントエンジニアの平井正幸氏は次のように語ります。

「流行のクラウド型データベースへの移行を検討しましたが、想定以上にコストが嵩み、改めて、AnalyticMartのコストパフォーマンスを評価しています。

長年の利用でストレージ内のデータ量がTB(テラバイト)レベルまで増えていますが、過去のデータを廃棄したことがありません。AnalyticMartの分析スピードは落ちることがなく、快適に利用できています。大手スーパーマーケットの開設というデータの急激な増加に対しても、特段のシステムチューニングが不要でサーバーの性能強化だけで対処できました。

海外製品はこれまで使ってきた機能が突然変更されてしまうといったリスクもありますが、AnalyticMartはバージョン間の互換性が保証されながら、機能も性能も継続的に向上されているため、安心して利用できます。

また、導入以来、DWHに起因するトラブルは一切ないこともAnalyticMartを使い続ける理由です。小売業者から私たちに寄せられる問い合わせも少なく、サポートコストの低減につながっています。長年安定して稼働しているから、私たちはアプリケーションの機能強化や操作性改善にリソースを注力することができます」

今後の展望

さらなる進化に向けてAIや機械学習の活用も視野に

今後は、POSデータ開示サービスをさらに進化させるため、ユーザーインターフェースの高度化や、モバイルデバイス対応などユーザーエクスペリエンスの向上に取り組んでいく考えです。

さらに将来に向けて、機械学習を用いた予測分析モデルの導入を検討していくといいます。花井氏は「商品の売上げは、過去の実績だけでなく、天候などの外的要因によっても大きく左右されます。今後は、POSデータやマーケティングデータだけでなく、気象データ、広告のメタデータ、ソーシャルネットワークのデータ、さらには小売業者の原価データ、在庫データなど様々なデータを蓄積・分析できる機能の強化に取り組んでいきます」と語ります。

フュージョンはAnalyticMartを活用し今後もダイレクトマーケティングを横断的に支援するサービスプロバイダーとして、マーケティング活動を全方位から支えていきます。