千歳コーポレーション株式会社様

MINDゼロトラスト関連ソリューション導入事例

働き方改革の一環で「ITインフラを刷新」SASEプラットフォームの導入により先進的なゼロトラストモデルを実現

千歳コーポレーション株式会社はオフィスビル・マンションの賃貸事業をはじめ、企業内保育事業など新しい分野にチャレンジすることで快適なオフィスライフに貢献しています。新たな働き方とビジネスのデジタル化に取り組む同社は、三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)をパートナーにして、SASEプラットフォームを導入し、ゼロトラストモデルのITインフラを構築しました。場所や時間にとらわれない働き方を支える安心・安全なITインフラによって、社員の仕事に対する意識が大きく変化しました。

千歳コーポレーション株式会社様

専務取締役
中尾 誠志 氏

システム部長
前澤 秋生 氏

システム部
部長
藤田 淳 氏

システム部
次長
磯部 宏 氏

導入背景

通信の快適性とセキュリティーを両立するモバイルアクセス環境の構築を検討

千歳コーポレーションは、1960年8月に三菱銀行(現、三菱UFJ銀行)との共同でビル経営およびビル管理を主な業務目的として設立されました。現在は首都圏をはじめ国内主要都市に合計43の物件を所有し、三菱UFJ銀行の店舗が入居するビルを中心に快適なオフィス空間を提供しています。同社は、創立60周年を迎えるにあたり、新たな取り組みとして着手したのが働き方改革です。専務取締役の中尾誠志氏は次のように語ります。

「働き方改革のためには、時間や場所にとらわれない働き方を実現することが重要と考え、ペーパーレス化から取り組みました。紙の書類をPDF化して印鑑の文化からの脱却を図り、意思決定のスピードを高速化することが狙いです。どこでも働けるようになると、人事のあり方も変わってきます。そこで、2つめのステップでは人事制度を改革して在宅勤務やフレックスタイム制を導入しました。3つめのステップでオフィス改革に着手し、東京本社を“居ながらリニューアル工事”で改装してフリーアドレスの導入や、拠点間をつなぐ大画面モニターの設置など進めてコミュニケーションを活性化させました」

働き方やオフィス環境が変わると、ITインフラもそれに合わせた対応が必要になります。そこで同社はビジネスのデジタル化のステップ1として、2019年にMicrosoft 365を導入してOfficeアプリケーションやメールをクラウド化し、チャット・Web会議ツールのMicrosoft Teamsの利用を開始しました。その後もSaaS型のファイルサーバー、ワークフローシステム、業務システム開発アプリケーションなどを順次導入。さらにオフィスの改装に合わせて無線LAN化やスマートフォンによる入室管理の導入などを進め、社員には1人2台(自宅・会社)のPCを用意することによってテレワーク環境を充実させました。

2020年からのステップ2では、社内のサーバールームで運用していた基幹システムをクラウド環境に移行し、同時にモバイルアクセスの見直しを図りました。システム部長の前澤秋生氏は次のように語ります。

「コロナ禍でテレワークが急増した結果、社内ネットワークにアクセスするVPNの帯域不足や、通信の遅延によって業務に支障を及ぼす事態が発生しました。そこで、通信の快適性とセキュリティーを両立するモバイルアクセス環境を新たに構築することにしました」

選定ポイント

クラウドからモバイルネットワークまで包括的に実現するMINDの提案を評価

「クラウド化推進」と「モバイル環境拡充」の2つを目的に掲げた同社は、複数社の中からクラウドへのシステム移行と、SASE(サシー)プラットフォームによるモバイルネットワークの構築を提案したMINDをパートナーに選びました。SASEプラットフォームとは、セキュリティー機能とネットワーク機能を1つのクラウドサービスとして提供するものです。ゼロトラストの考え方に基づくネットワークアクセスを実現し、ネットワークやデバイスの状態をその都度認証しながら安全性を確保します。

MINDを選んだ理由は、長年の支援実績と提案内容にありました。システム部 部長の藤田淳氏は次のように語ります。

「MINDとは2006年頃からサーバー基盤構築、ネットワークサービスなどで付き合いがあり、当社の環境を熟知していただいています。そのため、安心感、信頼感はどこよりもありました。クラウドとモバイルネットワーク環境の構築についても、オフィスリニューアルまでの限られた期間、かつ予算内での実現を目指す中、SASEプラットフォームを活用したMINDの提案は技術レベルが高くコストに見合ったものでした」

プロジェクトは2020年12月にスタートし、2021年7月までの8ヵ月間で基幹システムのクラウド移行と、モバイルアクセスの切り替えを終了しました。

在宅勤務など社外から直接のインターネットアクセスには、別途クラウド環境でIDを統合管理できる認証基盤(IDaaS)を構築し、既存の認証基盤とIDaaSをID連携させることでシングルサインオンを実現。さらに多要素認証による不正ログイン対策を強化しました。

VPNからSASEプラットフォームへの切り替えは、PCとスマホを合わせて約1,000台分の設定が必要となるため、工夫が必要だったといいます。システム部 次長の磯部宏氏は「コロナ禍ということもあり、モバイルデバイスへのソフトウェアのインストールは、手順書を作成して個々の社員に任せましたが、一部の人には出社して対応したりもしました。問い合わせも多く、サポートに追われましたが、導入全般においてMINDの手厚い支援に助けられました」と振り返ります。

導入効果

クラウド集約により運用負荷を軽減し新たなIT施策に集中

今回のIT改革により、働き方は劇的な進化を遂げ、同社の社員の意識も大きく変わりました。SaaS型のワークフローシステムやWeb会議システムの活用で意思決定も早くなりました。

「環境が変わることに対して導入前は社員からの反対もありましたが、現在はほとんどの社員が好意的に捉えています。ITを駆使したオフィス環境や柔軟な働き方は、MUFGグループのトップマネジメントからも高く評価されています。新しいワークプレイスのあり方は、ライブオフィスとしてお客様にも公開しています」(中尾氏)

SASEプラットフォームの導入で、テレワーク環境下でのセキュリティーは大幅に強化されました。従来のVPNで発生していた帯域不足や、同時接続数の制限からも解放され、利用者に対して安心できる環境を提供することができました。システム環境からセキュリティー環境までがすべてクラウド上に集約されたことで、システム部の運用負荷も大幅に軽減され、新たなIT施策に取り組むことが可能になりました。

今後の展望

SaaS型システムの増加に合わせてローカルブレイクアウトの導入へ

千歳コーポレーションは、今後もSaaS型システムの利用の拡大と、次世代ファイアウォールやCASBなどによるセキュリティー強化を図っていく考えです。その1つが、ローカルブレイクアウトによるネットワークの最適化です。

「インターネットアクセスが増えた結果、データセンターへのアクセスが集中するようになりました。そこで、データセンターを介さずに直接アクセスするローカルブレイクアウトを導入し、安定した通信を提供していきます」(前澤氏)

さらに、次世代を見据えたIT施策として、データ分析基盤の導入や人材の育成を検討しています。中尾氏は「最前線の業務に携わる現場の社員に対して、AI活用やデータ分析などの教育プログラムの受講機会を設けてITリテラシーを底上げし、ビジネスのイノベーションを通して経営に貢献していきます。そのためにも、MINDには、あらゆる方面からの支援を期待しています」と語ります。

千歳コーポレーションは、創業以来培ってきた業務ノウハウと先進的なIT環境を活用しながら、不動産に関わるあらゆるシーンでお客様を支援していきます。