2026年ITトレンド5選!
エージェンティックAI、量子コンピューターなど、次世代テクノロジーが実用化へ
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2026年1月14日
2026年は、様々な先端技術が実用化・商用化に向けたフェーズ移行を迎えると言われています。エージェンティックAIの台頭、量子コンピューティングの実用化予兆、ポスト量子暗号への移行、AI搭載ロボットの商用化など、多岐にわたる変革が待ち受けています。本稿では2026年のITトレンドを予想していきます。
1. 自律性の高い「エージェンティックAI」の台頭
「エージェンティックAI(エージェント型AI)」とは、目標を与えられるとニーズを予測して自ら計画を立て、複数のタスクを処理し、結果を評価しながら目標達成を目指す自律型のAIです。
これまでのAIは人間の指示通りにこなす受動的なものでしたが、エージェンティックAIは自ら考え、行動する能動的(プロアクティブ)なものです。特定のタスクに限り能動的に行動する「AIエージェント」より自律性が高いです。
エージェンティックAIの実証実験(PoC)はすでに実施されており、2026年に台頭すると予想されます。具体的にはカスタマーサポートの自動化やインシデント対応の自動化、研究開発のサポートといった用途での貢献を期待されています。例えば、研究開発では仮説検証から情報収集、データの統合といったプロセスにおける人力での作業負担を軽減することが可能です。
さらに注目すべきは、複数の異なる役割を持つAIエージェントを協調・連携させる「マルチエージェントシステム(MAS)」の台頭です。単独のAIエージェントでは対応できない複雑な業務を効率よく処理します。市場ではすでにMASのサービス提供が広まりつつあります。
2. 量子コンピューターの実用化:LLMとの相乗効果で前倒しも
量子コンピューターとは、量子力学の原理を利用して、従来のコンピューターで膨大な時間を要していた複雑な計算を圧倒的なスピードで処理できる次世代コンピューターです。
処理速度が高速な理由は、従来のコンピューターが「0か1」のビットで情報を処理するのに対し、量子コンピューターは「0であり1でもある」という重ね合わせの量子ビット(Qubit)を使用することで並列計算を行えるためです。
量子コンピューターは1980年代にその概念を提唱されてから、長きにわたって研究機関や企業が実装に挑戦してきました。基礎理論やハード開発を少しずつ進め、近年では実用化に向けた動きが加速しています。
そんな中、2024年に転機が訪れました。Googleが新たな量子チップを発表したことで、最大の課題の一つだった計算エラーを正す「量子誤り訂正」の実現に大きな一歩を踏み出しました。この量子チップでは、量子ビットが増えるほどエラーを削減でき、エラー率の指数関数的な削減を確認しています。
また、AI技術を支える「LLM(Large Language Model/大規模言語モデル)※」の進化も量子コンピューターの実用化を加速させる要因として期待されています。研究開発における非構造化データの処理を効率化するなど、LLMとの相乗効果で、これまで2030年頃と予測されていた実用化の時期が早まるかもしれません。
※LLM:大量のテキストデータとディープラーニング技術により構築された、人間の言葉を理解する「自然言語処理(Natural Language Processing)」を可能にしたモデル
3. ポスト量子暗号への移行:技術進歩で新たなセキュリティーリスク
量子コンピューターが実用化されると、現在、一般的に使われているRSA暗号やECC(楕円曲線暗号)といった公開鍵暗号方式が解読されるリスクがあります。
既存の暗号技術は「大きな数の素因数分解や離散対数の計算が困難である」という前提に基づいていますが、量子コンピューターの高速処理によって、現在のセキュリティーが根本から覆される恐れがあります。
特に懸念されているのが「SNDL(Store Now, Decrypt Later)攻撃」です。これは、現時点で暗号化されたデータを奪取・保管しておき、将来、量子コンピューターが実用化した段階で解読するサイバー攻撃です。
新たなセキュリティーリスクに対応するため、量子コンピューターでも解読できない暗号技術である「ポスト量子暗号(Post-Quantum Cryptography)」(以下、PQC)への移行が世界各国で進められています。2024年には米国国立標準技術研究所(NIST)が、PQCの標準規格を公開し、グローバルでの移行に向けた動きが加速しました。
日本国内でも政府が主体となって、2030年を目途に重要インフラなどの優先システムでPQC対応を完了するロードマップとガイドラインを策定中です。金融庁もメガバンクや地銀に対しPQC対応を求めており、2026年には金融機関を中心にPQC移行が本格化すると考えられます。
4. AI搭載ロボットの商用化・量産化:物流や小売、介護業での期待
AI技術とロボット工学が融合し、人間の指示を理解して自律的に作業を行う「AI搭載ロボット(スマート・ロボット)」の商用化が2026年に本格化する見込みです。これまでの産業用ロボットは事前にプログラムされた動作を繰り返すことに特化していましたが、トラブル対応や柔軟な判断は苦手でした。
一方、AI搭載ロボットはカメラで周囲の状況を認識し、LLMで人間の言葉を理解し、機械学習によって最適な行動を選択できます。「この箱を棚に片付けて」といった抽象的な指示でも、状況を判断して実行できるようになります。
例えば、米国・Tesla社の「Optimus」は、人間と同じく手足や指、頭部を持つ人型ロボットで、ダンスや料理といった繊細な動きまでこなします。さらに、中国・XPENG社は2025年11月にOptimusより全身の自由度が高い「IRON」を発表しました。どちらも2026年中の量産化を目指しています。
AI搭載ロボットの登場によって、物流や製造、小売、介護、農業といった業界における業務自動化が進む可能性があります。
5. 地政学リスクに基づく、データセンターの電力コスト増
近年、データセンター(以下、DC)の電力消費は増え続けています。国際エネルギー機関(IEA)によると、DCにおける世界全体の電力消費量は、2030年までに2024年の水準から2倍の約9,450億kWhに達する見込みです。
DCの電力消費増の背景にあるのは、AIの普及です。AIは学習・推論のために膨大な計算リソースを必要とし、DCに設置してあるサーバーや冷却装置を稼働させるために大量の電力を消費しているのです。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、一般的なDC1拠点あたりの電力消費量は、一般家庭の1万〜1.6万世帯分、約50MW(メガワット)に相当するとされています。
一方で、エネルギー供給を巡る地政学リスクが常態化しています。紅海におけるフーシ派の船舶攻撃により石油・LNG輸送ルートが脅かされ、ロシア・ウクライナ紛争の長期化は欧州のエネルギー安全保障に影響を及ぼし、中東情勢の不安定化は原油価格の変動要因となっています。
実際に、原油価格は2022年の1バレル100ドル前後の高騰より値下がりしたものの、2019年の約40ドルに比べると1.5倍〜2倍で推移しています。
日本は一次エネルギー自給率が約12.6%(2022年時点)と世界各国と比べても低く、石油・天然ガスの大半を輸入に依存しています。エネルギー価格の高騰は、DC運営コストの上昇に直結し、ひいてはクラウドサービスやAIサービスの価格転嫁につながる恐れがあります。
まとめ
2026年は、エージェンティックAIや量子コンピューターといった次世代テクノロジーが実証段階から実用段階へと移行する転換点となります。技術革新は産業や社会にイノベーションをもたらす一方で、セキュリティーリスクやエネルギー価格高騰といった課題への対応も求められるでしょう。
- Tesla、Optimusはテスラ, インコーポレイテッドの登録商標です。
- XPENGはGuangzhou Xiaopeng MOTORS Technology Co., Ltdの登録商標です。
- JOGMECは独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の登録商標です。
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