今さら聞けないデータセンターの冷却技術!
ユーザーでも行える冷却効率化とは?

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2025年7月3日

連日暑い日が続いています。
暑い日にはエアコンをつけて涼みたいところですが、年中暑さと格闘している現場があります。
そう、データセンターです。本コラムではデータセンターの冷却技術の変遷やユーザーでも行える冷却効率化手法をご紹介させていただきます。

データセンター冷却技術の移り変わり

データセンター冷却技術のトレンドを年代ごとにまとめました。二重床空調方式から始まり、現在のトレンドは空調搭載型ラックや液冷方式(DLC)・液浸冷却とだいぶ様変わりしているのが分かると思います。データセンターの現場はまさに「サーバーから排出された暖気」との闘いといっても過言ではありません。2000~2010年代ではサーバー室の「空間」を冷却することに注力していましたが、現在はサーバーの高密度化による発熱量増加の影響で「サーバーを直接冷却」することにフォーカスされています。

次項からは各トレンドをもう少し掘り下げてみたいと思います。

広く普及した「二重床空調」方式

2000年代頃、データセンターの冷却技術で広く普及したのが二重床空調方式になります。床下に空調機から冷気を送り、ラック底面の開口部や開口パネルを利用しながら冷却します。ラックから排出された暖気は空調機に戻り、再度空調機から冷気を送ることで循環する仕組みです。この方式において難しい部分は「暖気を空調機に戻す」ことにあります。暖気が天井付近に滞留して熱だまりが発生してしまうケースも少なくないため、サーバー室の温度状況を日常的に監視し、時には天井にファンを設置するなど日々改善を図る必要があります。

「冷暖分離」による効率改善、冷却対象は「空間」から「個」へ

2010年頃にかけて普及したのが冷暖分離方式です。二重床空調方式は「暖気を空調機に戻す」ことが課題とされてきましたが、この課題を解決する仕組みを持ち合わせた方式となります。ラックを背面合わせで設置して暖気を一か所に集中。滞留していた暖気はスリット型天井パネルを通して天井内部に集めます。空調機と天井間にはダクトが設置され、天井内に集まった暖気を集中的に吸い上げます。さらにはラック通路をカーテンで密封して「冷気が集まる通路」「暖気が集まる通路」を区分けする手法も発明されるなど様々な冷暖分離方式の仕組みが確立しました。
そして現在。生成AIなどの登場で爆発的に計算量が増加したサーバーが登場し、これまで紹介してきた「空間を冷却する仕組み」だけでは冷やすことができない状況も出てきました。そこで登場したのが空調機搭載型のラック、液冷方式(DLC)や液浸冷却です。特に液冷方式(DLC)は注目されており、CPUなどの熱源に専用プレートを接続して冷却液を通す方法で、これらを搭載したサーバーはDLCサーバーと呼ばれています。液浸冷却はサーバーを丸ごと絶縁性の冷却液に沈める技術ですが、難易度が高いため普及するのに時間がかかりそうです。

暖気の戻りを防ぐ!ブランクパネルの活用方法について

サーバー室内の空間ではなくラック内部にフォーカスを当ててみたいと思います。サーバーは基本的に前面から吸気して背面にあるファンから排気します。例えば、ラック内に設置したサーバーの間が所々空いていた場合、どのような影響が考えられるのでしょうか。それは、背面から出た排気が前面側に回り込むことです。
冷気と暖気が混ざり合ってしまい、冷却効率を落としてしまいます。そこで是非とも活用いただきたいのがブランクパネルです。ブランクパネルを前面側に取り付けることで排気の回り込みを防ぎます。ラック内でサーバーなどIT機器間に隙間がないか、機器未設置のスペースがないか点検を実施してみてください。隙間やスペースにブランクパネルを取り付けることにより暖気の回り込みを防ぎ、冷却効率を改善できます。

データセンターの冷却技術の変遷やユーザーでも行える冷却効率化手法をご紹介させていただきました。
弊社は設備専門のエンジニアが日々お客様のラック稼働状況を俯瞰しながら空調設備を運用しております。冷暖分離による空調方式を採用しているデータセンターでは高発熱対応となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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