シリコンバレーだより6
アメリカシリコンバレー近況と注目ソリューション

  • #シリコンバレー
  • #Generative AI活用

2024年7月25日

当社 ITリサーチオフィス(以下ITRと呼ぶ)は、2005年10月に米国最新技術動向を調査することを目的として、米国カリフォルニア州シリコンバレー地区に設立されました。その後15年以上シリコンバレーにオフィスを構え、米国技術動向の調査を行っております。
シリコンバレーのオフィスは、三菱電機のイノベーションチームと共に15名程度が在籍し、当社 ITRとしては、現在1名体制で調査活動を実施しております。
主なテーマはITインフラに関わる技術動向で、クラウドやセキュリティー、ネットワークなど多岐にわたる領域を対象としており、最近ではGenerative AI活用の調査も行っております。

シリコンバレー近況

現在、シリコンバレーでは初夏を迎え、晴れの日が続くとても過ごしやすい季節を迎えています。米国では学校も6月までに学期が変わるため、最近外出していると公園などには多くの子供を連れた家族が見られます。私は米国に滞在するようになって、自然公園・国立公園を巡ることを1つの楽しみとしているのですが、先日行った先でも大勢の家族がBBQやキャンプを楽しんでいました。国立公園のトレイルは未舗装の場所が多いのですが、小さい子供も元気に歩き、自然を楽しんでいました。

また、先日Meta(Facebook等を提供する企業でカリフォルニア州メンローパークに本社を置く)の本社に入る機会がありました。セキュリティーゲートを通ると、いったん外に出るのですが、そこは1つの街のように作られており、レストラン、アイスクリームショップ、お土産屋、そしてなぜか自転車ショップがあります。ミーティングではQuest VRヘッドセットやAR/VRの企業利用におけるディスカッションもさせて頂きました。(会議室の名前は「Golden Gate Bride」でベイエリア周辺の名所がそれぞれつけられています。)会議や製品チェック、トレーニングなどVRで行うことで予算の削減と時間の短縮を実現しており、既に6万台以上のVRヘッドセットを導入しているユーザもいる様です。ミーティング後にはランチも頂いたのですが、本社内にあるレストランはほぼ全て無料ということです。もちろん、従業員とそのVisitorだけしか入れないのですが、私が伺った金曜日はFamily dayということで子供と一緒にランチを取られている方が多くいました。

なお、Metaが提供する技術として外せないのが、昨年から引き続きトレンドになり続けているGenerative AI(Gen AI)です。MetaはオープンソースモデルであるLlamaを出しているのですが、LLM(大規模言語モデル)自体で収益を上げるのではなく、それが用いられたアプリケーションによってVRヘッドセット等を売ることでビジネスモデルを確立しています。

AIの成長性

2024年6月にGartnerがAIに関するハイプサイクルを発表しました。様々なAI技術について、成熟度や社会への適用度が示されているのですが、注目するポイントの一つはそれらの変革性と利益性の高さです。通常ハイプサイクルで示される技術は企業利益に繋がらないものも多いのですが、Gartnerの見解では、AIに関しては変革的または高い利益をもたらすイノベーションが殆ど全てであり、中程度の利益をもたらすものはなく、低い利益のものが1つだけあるという点で異例だと感じます。別の調査会社のレポートでもAI市場は2023年の145.1Bドルから2024年には214.6Bドル、そして2030年には1,339.1Bドルへ成長すると予測されており、非常に高い成長率です。

AIは独立した技術ではなく、様々な業界に革命をもたらすものであり、ビッグデータ分析、ロボット工学、IoTなどの新興テクノロジーの主要な推進力となっています。また、ITインフラ分野においてもネットワーク、セキュリティー、クラウド、プラットフォーム、ソフトウェアそしてハードウェアやデバイスなど幅広く活用されています。この幅広い関連性が1年以上にわたりトップトレンドとして上がり続ける理由の1つでしょう。

なお、国・都市別のAI関連投資状況では、アメリカそしてベイエリア(サンフランシスコ、シリコンバレー)が頭一つ抜けています。2023年には8年ぶりにベイエリアの人口が増加したのですが、これもこの状況が後押ししたのかもしれません。

AI Everywhere

ITRでは1年以上にわたりGen AIを取り巻く状況を追っています。ChatGPTの出現によりまずLLM自体が注目されました。そして半年後には多くの大手ベンダーが自社の既存ソリューションにGen AIを取り込み、AI Assistant機能を発表しました。その後、リスク(正確性、バイアス、透明性など)が注視され、対応するためのセキュリティーやガバナンス、フレームワークを考えるようになり、各国・地域も規制をかける動きが出てきました。ちなみに、規制面ではEUがトップでしょう。2024年3月には世界初の包括的なAI規制法案を可決し、リスクの高いAIの使い方は禁止され、違反した場合は多額の制裁金が課されることになります。

最近目立ってきたのはGen AIネイティブなソリューションです。既存のソリューションの一つの機能としてGen AIを組み込むのではなく、Gen AIがあることを前提とし、それを最大限活用する様なサービスやアーキテクチャが大手ベンダー、スタートアップの枠なく出てきています。また、AIチップの高度化によりデバイス自体へGen AIが組み込まれるようにもなってきています。MicrosoftはCopilot+PCを発表し、AppleもAIを使った新機能群を「Apple Intelligence」として発表し、iPhone、iPad、Macに提供開始することを発表しました。今後、私たちの生活のあらゆる場所でAIが使用される、AI Everywhereが実現するのもそう遠くないのかもしれません。

まとめ

Gen AIモデルはユニモーダル(Text to Textなど)からマルチモーダル(Text,Video,Voice,Pictureなど複数または全てに対応)に進化し、そのサイズも大規模なものから小規模なものまであります。また、汎用的なものだけでなく、製造業、ヘルスケア、リーガルなど特定の分野に特化したモデルも出てきています。ITインフラにおいても今後もこのテクノロジーと上手く付き合うことで、現状の様々な課題(人手不足、長時間労働、スキル)の解決につながると考えられます。

当社はITインフラの設計から構築、そして監視・運用までトータルで提供できる会社であり、お客様の課題解決に役立つソリューションをご提案できると考えています。当社 ITRもお客様に求められるサービスを当社が提供し続けられるよう、引き続き米国での調査とそれに基づく当社サービス開発を支援していきます。

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