東風(こち)吹かば、春の予感 ~昭和100年に向けて吹く風は?~

執筆:役員室 上田 雅章

年始から寒い日が続きました。地球温暖化の特徴は、夏の極暑と厳冬がセットで発生するのだそうです。
それでも2月が終わり3月の声を聴くと、そろそろ春の予感。これまでの寒風に、東風、南風の吹く日が混じり始めます。
一方、来年2025年は昭和100年。これに向けて世界にはどんな風が吹くのでしょう。
今回は、いろいろな“風”とその予測について考えてみました。

風は生活に密接

菅原道真の和歌にもあるように、東風は春を運んできます。風は人の生活に影響するためか、日本には風に係る言葉が2000以上あるそうです。
例えば、東風は“こち”、“あゆ”などと呼び、南風は“はえ”、西日本では“まぜ”、“まじ”と呼びます。
“まぜ・まじ”は“真風”とも表記し、地域によっては南・南西・西の風を指すようです。昔、太平洋岸、瀬戸内海を航行する帆掛け船にとって、運航に都合のよかった南や西寄りの風を、経験を基に“真っ当な風:真風・まぜ”と呼んだのではと推察します。

天気のことわざ・観天望気

科学的な気象観測・予測ができなかった昔の人は、風の状況、雲や空の景色、さらには動植物の振舞いを経験として積み重ね、ことわざにして天気を予想していました。これを“観天望気”と言い、例として・・・、
「朝焼けは雨,夕焼けは晴れ」、「○○山に雲がかかるとマゼ(南風)が吹く」、「ツバメが低く飛ぶと雨」。
今でも天気に関する言伝えは、漁業・農業のみならず、釣りやマリンレジャーを楽しむ方々にとって有用です。

最近の天気予報はよく当たる

一方、最近は天気予報が良く当たります。人工衛星も使い大気観測、大洋観測を精密に行い、更にスパコンを使った気象・海象のシミュレーションを行うことで、短期、中長期の天気予想の精度が高まりました。
現在の気候シミュレーションのプロトタイプは、2021年ノーベル物理学賞を受賞した眞鍋 淑郞さんが、1950~1960年代に当時最新のコンピューターを駆使して作り上げた「地球気候システムの数値モデル」で、現在の地球温暖化の予測にも繋がっています。

読み難い世に吹く風

風は大気の流れですが“世の中の動きやその様子”という意味合いもあります。
今の世の中の状況、これから先の世界の動き、見通せない未来を人は知りたいと考えます。しかし残念なことに、我々は時代を吹く風の予測が苦手です。この風は気象のような科学的な観測が難しく、また“人”という一番不規則な振る舞いをする要素のモデリングできないため、シミュレーションができません。
だからこそ先人たちは過去の事例を参考にせよとして、「歴史に学べ」、「歴史は繰り返す」という観天望気のような格言を残したのでしょう。

時代に吹く風は読めないが、身構えることはできる

今年、世界にはどのような風が吹くのか。2024年の展望については多くのマスコミ、シンクタンクなどが論説しています。
しかし我々個々人がこれに一喜一憂しても意味はありません。
私が大事だと考えるのは、何か起きたとして、それに関係することについて予め自分の意見を持っておくと言うことです。
来年は昭和元年・1925年から100年目にあたります。この100年に起こった出来事について、皆さんそれぞれの考えを整理され、意見を持たれてはいかがでしょうか。

  • 化石燃料が牽引した20世紀の世界の繁栄とその負の遺産である地球温暖化
  • ITの精華であるAI技術の本質とこれからの社会・生活の変化
  • 二度の大戦、その後の冷戦の歪として残された東欧、中東、東アジアの緊張と世界平和
  • 昭和的価値観の考察:不合理な予定調和への盲従、親方日の丸的公依存体質と国際標準型自己責任社会との整合など

これまでに起きたことに意見を持ち、未来に起こりそうな出来事との関連を一度想像しておけば、「諸行無常」の世の中で何かが起きても単純には俗論に踊らされず、時代という風を自分という帆で捉えて、真っ当に進めるのではと考えます。

風は読めても・・・

ところで、私はマリンスポーツが趣味で、スマホの風予報アプリをよく使います。
たいへん便利で、風・波の情報を精度よく得られるため、沖で強風に曝されビビることもなく、凪(なぎ:風がぴたりと止まった状況)でもあと20分で風が吹くことを知ったうえで船を廻せます。
また海の上ではその瞬間のリアルな風の変化は“耳”で聴きます。やはり五感も重要です。

このように、私、海の風はよく読めます。
にもかかわらず、家の中では「あなたは空気が読めない」とよく言われるのは・・・、なぁぜなぁぜ?

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