盆栽・キャラ弁・七五三、インバウンドからアウトバウンドを考える

執筆:役員室 上田 雅章

2024年、年明けから大きな災害事故が起こり、たいへんな幕開けとなりました。犠牲となられた方々へお悔やみを申し上げるとともに、被害を受けられた皆さまが一日も早く日常を取り戻されることを願います。

4年ぶりに、社会活動に制約のない一年が始まりました。夏にはパリでオリンピックが開催され、今年は世界を移動する人が増えそうです。
我々もそろそろ海外旅行をと思うのですが、どんな旅にすればよいか。そのヒントを考えるべく、一足先に始まったインバウンド:海外から日本への旅行の様子を見てみましょう。

インバウンドはモノからコトヘ

まず、私が最近見聞きしたエピソードです。

その1:鎌倉にて
私は鎌倉在住です。例年秋の鶴岡八幡宮は、七五三参り、振袖や羽織袴で着飾った子供さんたちでにぎわいます。
これ、海外の方には大変な人気で、以前は団体旅行の皆さんがわっと子供たちを取り囲み、皆で笑顔の記念写真。こんな光景がよく見られました。
ところがこの秋、目撃したのが・・・、明らかに海外からの旅行客と思われるバックパッカー風の親御さんと、羽織袴、振袖で着飾った子供さんの親子連れ。英語の旅行サイトから子供用着物のレンタルを予約。髪結い・着付けをしてもらい、ちゃんとご祈祷も受け、千歳飴の袋をしっかり手に提げていました。

その2:四国の田舎町にて
私の実家は四国の田舎町なのですが、昨夏の帰省時に海外からの旅行者を何組も目撃しました。海外の方がお金をかけていらっしゃるような名所旧跡は無い・・・はず。
居酒屋で隣になったスイス人カップルは3週間の日本旅行だそうで、この田舎町に4日も滞在。SNSで見つけた地元の陶芸を体験し、霊場を巡ると。地元出身の私、どちらもしたことありません。“外国人”が少ないのがイイのだそうです。

その3:その他いろいろ
調べると、埼玉で盆栽鑑賞のレクチャー、新潟で錦鯉の品評を学ぶなど日本文化体験型ツアーが続々。驚くことに、英語によるキャラ弁作り教室もあるようで、とうとうここまで来たか、という感慨。

インバウンドは体験型・個人旅行へ

世界中どの国の人も自国外への海外旅行はハイテンション。名所旧跡を訪ね、地場料理を楽しみ、土産モノを買う、これが基本で間違いはないでしょう。でも多くの人はこれに加え、訪問先の文化・風土、社会、生活に触れ、体験してみたいと考えています。
日本人も同じなのでしょうが、海外の方はそれを易々と実行してしまいます。初来日にもかかわらず日本のことを事前にネット等で調べ、その中から自分の志向・嗜好と合うものを選び、マイブームな体験を旅程に織り込むようです。

確かに京都、富士山、江ノ電鎌倉高校前駅は人気の観光地なのですが、彼らはここの訪問に体験を織り込みたいと考える。だから富士山に半袖・短パン・サンダル履きで登ろうと考えるのでしょうか。危険と思わず?危険を顧みず?
SNS、個人ブログ、動画サイトを見ると、よくもまあこんな辺鄙な所で、こんなマイナーなことを、と思われる日本旅行の思い出がアップされています。これを参考にまた別の方がいらっしゃる。
こうなるとニーズは多様なので、団体パッケージツアーではなく個人旅行でと言うことになるのでしょう。

アウトバウンド・海外旅行を体験型オーダーメードの個人旅行に

年が明け、円安も戻り気味。我々も春夏のアウトバウンドを計画しましょう。
手段としてパック型旅行は効率が良く安全です。ツアーバスは、ある国の西の果ての景勝地と古都の大聖堂、首都の美術館を3泊4日間でスムーズに回ります。
でもね、日本では美術館なんて行かないのに添乗員に連れられてぞろぞろと“モナリザ”や“最後の晩餐”の前を通り過ぎる。お向かいのご夫婦が5年前に行ったところ、見てきたものを、再確認するために何十万円もかけるってどうでしょう。

観光バスで乗り付け、由緒ある斜塔に自分を入れ込み自撮りするのもいいです。一方で、街中を地下鉄や路面電車で廻り、地元の市場の喧騒、ビンテージ家具ショップの静謐、観光客はめったに来ない居酒屋で勧められる地酒と地肴のマリアージュ、ネットで調べれば、こんな土地の空気を写真と共に記憶に撮り込めます。
価値観は多様です。今年は個人旅行、そこまで行かなくてもパック旅行中の自由行動時間に、その地の風土、文化、生活に触れる唯一無二、オーダーメードのイベントを盛り込むことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

かく言う私、ロンドンでは定番の大英博物館へ駆けつけました。2階建の路線バスで行き、博物館のRoom4に直行。ある小説で興味を持った“ロゼッタストーン”の実物、特に石の裏側を見たかった。15分ほど表裏をじっくり観察しただけで退出。バスでピカデリーに戻り、路地裏のパブでゆっくりギネスをいただきました。
だってエジプトのミイラやギリシャの彫刻には興味ないし、大英博物館は入場無料なんですよね・・・、知らんけど。

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