夏が来れば思い出す、夢はつまり思い出のあとさき
~わたしの無謀な夏休みの宿題プロジェクトから~

執筆:役員室 上田 雅章

♪夏が来れば思い出す~、子供のころの夏休み。
久々に思い出した二つ夏の出来事と今の仕事の、アナロジー(類比)について考えてみました。 今回のテーマは、“♪夢はつまり~思い出のあとさき”・・・。

思い出 その一

私(筆者)が小学生の頃、夏休みは一学期の終業日、通知表を見終わった母の恒例の宣言で始まります。
開口一番、「さあ、机とプリントの整理をしなさい」。これに続くのが何よりも恐ろしい、「終わらないと、明日からの学校のプール開放へは行かせません」との脅し。
普段は早く宿題をやれとも、習い事をせよとも言わない母の、学期終わりの大号令でした。
田舎の小学生にとって、プール開放は夏休みの一大イベント。友達とプールに行けないということは、自分にだけ夏休みが来ないのと同じ。
私は大好きな午後のテレビ番組“道頓堀アワー”を封印し、すごすごとプリント整理を始めたものです。

一学期分100枚くらいのテスト結果や学習資料が、机の引き出し、段ボール箱にどっさり放り込まれています。
これを並べ、捨てるものを選り分け、千枚通しで穴をあけ黒紐で綴じる。これを小さな段ボール箱に入れ、捨てる用紙から一枚とり、裏に大きな文字で“一学期の学習”と書き蓋に貼る。
翌日(夏休みの初日)の午前中いっぱいかかりましたが、プール開放初日に間に合いました。

思い出 その二

ここからが、ようやく夏休みの始まり。
学校のプールは日課で、山や川を駆けまわり、ハンドベースボールのリーグ戦、秘密基地作り・・・。普段より時間のかかる遊びを思いつき、真っ黒に日焼けして日々を送りました。私にとって夏休みは黄金の日々・・・。
ただしそれはお盆の終わる8月15日ごろまでのこと。アブラゼミがツクツクボウシに代わり、赤トンボが飛び始めると夏休みは終盤。

今でも8月後半になると、必ず一度は見る夢があります。
夢の中で悪夢にうなされる。その正体は夏休みの宿題。読書感想文はまだ本を読んでいない、交通安全のポスターはアイデアもなく、自由研究に至ってはテーマすら決まっていない・・・。
あれだけ一緒に遊び回った悪友が、あと感想文だけ、絵日記が2枚足りない、全部できた・・。マジかと、より一層焦る。
夢は続き、何とかでっち上げた宿題が返却される場面。“たいへんよくできました”の花丸は無く、“もうすこしがんばりましょう”と愛想もない印ばかり。「オレだって、たいへんがんばったんだぞ!」と叫んで目を覚ます、という結末。

まあ、夢の分析はフロイトに任せるとして、振り返ると二つの思い出は典型的なプロジェクトの好悪事例のようです。

その一:計画され、管理されたプリント整理プロジェクト

母が指揮するプリント整理は、作業内容・手順が明示され、完了期限を強く認識して即刻始まる。プール開放はご褒美の飴で、タスク実行者の私に、完遂への強いモチベーションをもたらす。
実際の期限までのバッファー(ニ学期が始まるまでにやれば良い)は、タスク実行者(私)には示されず、母が保留し管理。

その二:願望にまみれ、今年も崩壊した夏休みの宿題プロジェクト

一方、夏休みの宿題群は、高学年になった私が全て自己管理。
タスクごとに何をやるかが曖昧のまま。所要時間は、読書感想文5日(本読み毎日1時間・作文半日)、自由研究10日(2日ごとに1~2時間・まとめ1日)・・・と甘く目算するも、いつ・なにを始めるかは“やる気”まかせ。
タスク所要時間の合計は、40日間の夏休みに対して十分短く、余裕(バッファー)があるはずと高を括る。しかし管理されていないバッファーが日々食いつぶされていく状況は把握しない。
さらに、割り込み(親戚のお兄ちゃんが映画に連れて行ってくれる)には後先考えず即応する。
最後は、効率を上げれば何とかなる(感想文は急いで読んで書けば丸1日!)と自分に言い聞かせる。
結果、タスクごとの質を落とし何とか終了。前に読んだ小四向け物語を思い出しながら書いた感想文。やぶ蚊に刺されながらかき集めた草花を、生乾きのまま張り付けた植物採集標本らしきモノ・・・。確かにひどい。

苦い思い出こそ、未来への教訓に!!

なにか似たようなことをやってます、最近も。
これは私自身の夏休みにまつわる黒歴史ですが、子供の頃の思い出の中にも、今の仕事とのアナロジーがあるんですね。
と言うことで強引にまとめると、“夏が過ぎ(過去を振り返り)”、ふと考えると、“夢(やってきた未来)はつまり、思い出(経験)のあとさき(延長線上)”にあるのでは、と思い至った次第です。

改めて想い起せば、私が植物採集で貼りつけた、夏草は、無計画と悪あがきの、夢の跡・・・でした。

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