とにかく驚きました、“とにかく明るい安村”さんに。
芸人“とにかく明るい安村”さんの７年前ちょっと流行ったパ〇ツ一つの裸芸が、この４月、イギリスの有名なタレント発掘番組：BGT(Britain's Got Talent)で大受け。その後YouTubeでもバズッています。ご存じない方、YouTubeで「BGT 安村」を検索してみてください。
動画だけを見ると、「英語もたどたどしい日本人の裸芸(ちょっと恥ずかしい)が受けた」と言うことになるのでしょうが、ちょっと違う観点、無謀にもITエンジニアの視点で考えてみました。

今回考えてみたいのは、お客様が“欲しいモノ”と“かなえたいコト:願望” です。
動画の流れに沿ってみてみると・・・、
まず、英語が得意そうでない日本人がガウンを羽織って出てきます。このBGTと言う番組には、世界中からいろいろな芸・才能も持った人が出演しますので、観客も審査員も、英語が流暢でないことについてはそんなに否定的ではない様子。移民も多い英国の懐の深さを感じます。
審査員との少しちぐはぐな英語のやり取りのあと、女性の審査員が「じゃあ始めて」と言うと、安村さんはいきなりガウンをかなぐり捨て、パ〇ツ一丁に。ここが最初のポイントで、放送コード的にはギリギリセーフではあるけれど、これ以上やったらダメよと言う良識の空気が会場を包みます。

まず安村さんは、「私、パ〇ツは穿いています。でも裸のポーズができます」と言い放ちます。
観客も、審査員も、「こいつやっぱり脱ぐんだ、全裸になるんだ」、「絶対ダメ、公共の場だから」、「でもほんとに脱いだらどうしよう」・・・と迷い始めます。
“芸の質”にうるさいイギリス芸能界の重鎮審査員、テレビと言う公共媒体ではあまり羽目を外すことを許さないイギリス人の観客が、「裸」と言うモノに惑わされ、一方でなんか面白いコトは体験したいという願望の狭間に落ち込み、安村さんのたどたどしい説明が混乱を掻き混ぜます。
そこで安村さんは「全裸のように見えるサッカー選手」のポージング。そして決まり文句の「安心してください、穿いてますよ」 を「Don't worry. I'm wearing.」と満面の笑みで言い放ちます。すると会場の空気が一変、「・・・パ○ツ!!!」と女性審査員（英国の有名歌手・テレビタレント）が絶叫。化学変化が起き、会場は笑いの渦に。
脱線しますが、英語の“wear(身につけている)”は他動詞。英語圏の人は “穿いてます・・・”とくると、目的語として“何を” を付け足したくなってしまうんですね。これが更に効果的でした。
ここから先はもう安村さんの独断場。“全裸のように見える” 競馬のジョッキー、007ジェームズボンド・・・を連発、観客は総立。手厳しいコメントで有名な審査委員長にまで「素晴らしい」と言わしめ、合格を勝ち取りました。

エンターテインメントの世界では、“良いモノ”が受ける場合と、“面白いコト”が共感を呼ぶ場面があるのだと思います。今回は、安村さんが失礼ながらたどたどしい英語で会場の空気を区切りながら進めてくれたことにより、観客のニーズがモノからコトへ変化する様子がよく分かりました。
安村さんは、この時、この場で、最適なソリューションを提供した・・・と言うことなのでしょう。

安村さんの快進撃は続いています、6月はGBTの準決勝に出演。敗れたものの、敗者復活で決勝まで行ってしまいました。優勝はしませんでしたが、イギリス以外の国からもオファーが来ているそうです。
安村さんの偉いところは、「同じことを繰り返しても・・・」と、これ以上の海外オファーを受けるかどうか一旦は慎重でした。これ、なかなか示唆深い。しかし、人生で一番受けた快感は忘れがたく、また所属事務所の意向もあり、海外出演を再考。やはりそうなりますか、でも大丈夫かな？
あるお客様向けにうまくできたシステム／ソリューションを、別のお客様に当てはまるかどうかよく考えずに水平展開して玉砕した例は多いですからね・・・。

最後に、安村さんはBGTで大受けした翌日、ロンドン市内でお土産の買物中に、はしゃぎすぎて財布をすられたそうです。
“喉元過ぎれば、あとの祭り???”とならぬよう、ソリューションの提供に併せて、セキュリティーの備えが重要だということですね。

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