三菱電機冷熱機器販売株式会社様

ハイブリッドワークソリューション VRシステム導入事例

冷熱設備機器のショールームをバーチャル上に構築し
集客力の向上と商品訴求力の強化を実現

「食」と「住」に欠かせない空調設備機器と冷熱設備機器の販売を手掛ける三菱電機冷熱機器販売株式会社。同社は、コロナ禍により和歌山にあるショールームへの顧客訪問が制限されたことを受け、「バーチャル(VR)ショールーム」の導入を検討。三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)のVR技術を用いたハイブリッドワークソリューションを活用し、本社内に冷熱シアター「ヒエルネ」をオープンしました。これにより、集客力の向上、商品訴求力の強化、移動コスト・移動時間の削減を実現しました。

三菱電機冷熱機器販売株式会社様

取締役
営業企画部長
芦田 隆文 氏

営業企画部長付
川村 竜治 氏

営業企画部
情報システム課
鈴木 芽実 氏

導入背景

顧客への提案機会拡大に向けVRショールームの導入を検討

三菱電機冷熱機器販売は、三菱電機グループの一員として空調設備機器と冷熱設備機器を専門に取り扱う販売会社です。ビルや工場用のエアコンや換気扇、コンビニや食品スーパーなどで食品冷却に使う冷凍機やショーケースなど、生活に欠かせない商品を設備工事店や設備機器商社に販売しています。

同社では、実機を交えながら商品説明を行うときには、和歌山にある三菱電機株式会社 冷熱システム製作所のショールーム「エアリエ」にお客様を案内しています。ところがコロナ禍において、ショールームの受け入れが制限される事態となりました。そこで同社が検討したのが、VRショールームです。取締役 営業企画部長の芦田隆文氏は次のように語ります。

「本施設の開設目的は、リモート環境活用による『新しい営業スタイル』の実現であり、具体的には、VR利用で低温機器の3D展示、和歌山の製作所に行かずしてライブ中継で視察可能、研修施設としての活用の実現です。当社のビジネスにおいて、製品のサイズ感や外観等を実機感覚で確認し、設置した際のイメージを掴んでいただくことは重要と感じます。VRに着目した理由は、圧倒的な没入感です。大型スクリーンに投映された3D映像を見ていただくことで、リアルなショールームの雰囲気を再現できると考えています」

移動時間の短縮と交通費の抑制ができることも、VRショールームの導入に踏み切った大きな理由です。東京から和歌山に移動すると往復で8時間はかかり、宿泊すると2日がかりとなります。交通費や宿泊費もかかります。

「本社(御茶ノ水)にVRショールームを設置することは、東京近辺のお客様を案内するうえでも効果があると判断しました」(芦田氏)

選定ポイント

業務目線での提案とICT関連の支援実績を評価

VRショールームの設置を検討した同社は、MINDの提案するハイブリッドワークソリューションVRシステムを採用しました。決め手は、三菱電機冷熱機器販売の業務を熟知した提案にありました。営業企画部長付の川村竜治氏は次のように語ります。

「MINDは、当社の業務システムから拠点間ネットワークの構築・保守まで、20年以上にわたって支援いただいている実績があります。今回も、当社の業務目線で株式会社ソリッドレイ研究所との連携していただきました。単独でなく複数人数でVR体験を共有できる提案もMINDだけでした」

VRコンテンツは、冷熱システム製作所のショールーム内を全方位から撮影して制作。本社のVRショールームには、正面、左側面、下面(床)の3面の壁に、3D映像を投映するスクリーンを設置しました。構築のポイントについて営業企画部 情報システム課の鈴木芽実氏は次のように語ります。

「工数や設備等を工夫し、予算に応じたコンテンツと設備を導入しました。コンテンツは体験者があたかもショールーム内を歩いているように見せるため、室内全体をスキャンしています。投映スクリーンについては、より立体的に見えるように2面ではなく3面が望ましいというMINDからの提案を反映しました」

導入効果

顧客接点獲得のハードルを下げ商品訴求力の強化を実現

冷熱シアター「ヒエルネ」の名称で、2023年4月にオープンしたVRショールームは、顧客への商品説明のほか、同社の営業担当者への研修にも利用しています。体験者は、VRグラスを装着して3面の壁に囲まれたスクリーンの前に立つと、ショールーム担当者の映像操作により、ショールーム内を歩いて左右を見渡したり、商品の裏側を覗き込んだり、機械音を聞いたりと、リアルなショールームを見学するのと同じような体験を味わうことができます。

「VRショールームを体験した時は、立体的なコンテンツを見て強いインパクトを受け、これならばお客様にも喜んでいただけるという期待感を抱きました。営業担当者からも、お客様を誘いやすいといった声が上がっています」(川村氏)

また、本社と冷熱システム製作所のショールーム間をつなぎ、商品をリアルタイムの映像で見せたり、冷熱システム製作所の技術者と直接会話したりすることができる「エアリア LIVE」も実施しています。

「VRショールームの体験者は、2023年4月のオープンから社内・社外を含めて多くの方々にご参加いただいております。社内向けとしては、入社歴の浅い若手の営業担当者や冷熱事業の従事者などを集めて研修会を実施しています。社員に自社商品の特長を詳しく知ってもらって知識を深めたり、冷熱システム製作所の技術者と意見交換をしながら、提案活動に役立ててもらうことが狙いです」(川村氏)

VRショールームによって同社は、集客力の向上、商品訴求力の強化・営業スタイルの変革、移動コスト・移動時間の削減を実現しました。

「これまではお客様に和歌山まで足を運んでいただく必要がありましたが、御茶ノ水にあるVRショールームなら気軽にお呼びすることができますし、交通費や移動時間を気にする必要がありません。結果として商談にたどり着くまでのハードルが下がり、アプローチもしやすくなりました」(芦田氏)

商品訴求力の強化・営業スタイルの変革についても、営業担当者のスキル・ナレッジ向上につながることを期待しています。VRショールームでは、これまで冷熱システム製作所のショールーム担当者に任せてきた商品説明を同社の営業担当者が行うことになります。そのためには、商品知識のレベルアップが期待されています。

「他社との競合になった際に問われるのは営業担当者の商品知識であり、冷熱の世界を知り尽くしていることです。そこで、担当者のレベルを高め、冷熱のスペシャリストになってもらうために、VRシステムを活用していきます。すでに何度かの研修会を通して、手応えを感じており、確実に当社の強みになると実感しています」(芦田氏)

今後の展望

情報発信基地として活用し冷熱事業の売上拡大に貢献へ

VRショールームは、2024年初頭から本格的にスタートする予定です。

「VRショールームを冷熱事業の情報発信基地として、社内外を問わず様々な情報を積極的に発信し、経営に貢献していきます」(芦田氏)

さらに、新卒採用の会社説明会用動画等での活用も検討しています。鈴木氏は「VRショールームが会社紹介に使えるのではないかと総務担当者と打ち合わせており、引き続きVRショールームの可能性を追究していきます」と語ります。

三菱電機冷熱機器販売は、常に新しい価値を提供してお客様にご満足をいただきながら、空調・冷熱の分野における環境負荷低減を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。