2024年ITトレンド7選!
生成AIを中心にテクノロジーが各分野のビジネスを変えていく

  • #ITトレンド
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2024年1月25日

あけましておめでとうございます。昨年のテクノロジートレンドで圧倒的な注目を集めたのは、やはりChatGPTをはじめとする生成AIでした。生成AI と連携した新たなサービスが様々な業界で提供され、クラウドを支えるインフラのあり方にも大きな影響を及ぼしています。さらに、法規制やドライバー不足を起因とする「物流の2024年問題」への対応、業種別のセキュリティー施策の必要性、気象に関するテクノロジー、自動運転の社会実装に向けた歩みなど、新たなテクノロジーが世の中に大きな影響を及ぼすと予想されています。本稿では、2024年を占うITトレンドを予想していきます。

① 生成AIを活用したサービス開発競争

米OpenAIが提供するAIチャットボット「ChatGPT」が登場したことで、生成AIによるサービス開発が加速しました。例えば、LINEヤフーは、社内にいる技術者7,000人全員がソフトウエア開発に生成AIを使えるようにすることで、開発の効率化とサービス提供の迅速化を目指しました。

また、生成AIを利用してユーザーとの自然な対話を可能にするチャットボットや仮想アシスタントなどのサービス、顧客の行動やニーズを理解するデータ駆動型サービス、機械学習や予測によって将来トレンドの分析など様々な可能性が考えられ、生成AIの活用が企業の競争力の鍵を握っているといえます。

一方で、生成AIには誤情報を拡散するリスクや、プロンプト(生成AIへの指示)に機密情報を入力することによって、その情報を生成AIサービス側が学習してしまい、不特定多数の生成AIユーザーに機密情報が漏洩するといった危険性が指摘されています。2024年は、生成AIの「光と影」がめまぐるしく入れ替わりながら、過ぎていく年になるのかもしれません。

② クラウドコンピューティングの新展開

ITインフラの観点で急速にクラウドシフトが進む中で、クラウドのあり方自体もAIを中心としたものに変化しつつあります。特に注目されるのが、クラウドの世界3大勢力であるAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)の動向です。

例えば、マイクロソフトはクラウドを「AIを稼働させるためのもの」として新たに位置づけています。AWSは生成系AIサービス「Amazon Bedrock」を東京リージョンで提供開始しました。GCPはVertex AIを展開し、AIへの投資を注力する構えです。自治体が持つ個人情報などを管理する政府クラウドの提供事業者として、日本企業が初めて選定されたこともあり、国産クラウドのゆくえも気になるところです。

また、生成AIと相性の良い半導体としてGPU(Graphics Processing Unit)への関心が高まっており、GPUメーカーである米エヌビディア(NVIDIA)の今後の動きに大きな注目が集まっています。生成向けAI半導体をマイクロソフトが独自に製造するといった話も出てきており、ハードウエア面を含めてクラウドが新展開を迎えています。

③ 「物流の2024年問題」への対応

2024年4月施行の働き方改革関連法に基づき、ドライバーの時間外労働に新たな上限規制が導入されます。ただでさえドライバー不足が叫ばれている中、物流効率を向上させなければ、荷物の配達に支障が生じ、物流に混乱が生じるリスクが高まります。この問題こそが「物流の2024年問題」と呼ばれています。

ITの支援により、ドライバーの出勤時間を調整して負担を少なくしたり、効率的な配送ルートを設定したりと、勤務時間の短縮やドライバーの負担軽減を図る必要が出てくるでしょう。

④ 業種ごとに求められるセキュリティー対策

これまでは大手企業やサプライチェーン企業を狙うサイバー攻撃が主流でしたが、近年では、医療機関もサイバー攻撃の標的になったことから、セキュリティー対策が業種ごとに求められる傾向が見えてきました。医療機関は、個人情報が豊富である一方、一般的にITシステムが脆弱であるといわれ、システムのダウンタイムが患者の生命を脅かすことにつながりかねません。

もちろん、サイバー攻撃の対象は医療機関のみにとどまりません。2023年にはホテルの予約サイトを狙うサイバー攻撃が増加し、一般消費者を含めた被害者が出ているとの報道がありました。置かれている状況によっては、2024年に新たにターゲットなる業種があるかもしれません。

対策として、ゼロトラストモデルやSASEなどのセキュリティーキーワードが注目される中、インシデントを予防し、有事には適切に対応する体制の構築に向けて、業種ごとの独自の対策が求められる可能性があります。

⑤ プラス・セキュリティー人材の重要性

「プラス・セキュリティー」とは、自らの業務遂行にあたってセキュリティーを意識し、必要かつ十分なセキュリティー対策を実現できる能力を身につけること、あるいは身につけている状態のことを呼びます。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)でも、『サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer2.0付録F』で、プラス・セキュリティーの取り組みを推進すると明記しています。新技術としてのAI活用が要請される中で、リスクを正確に把握しながら業務を進めていけるプラス・セキュリティー人材の育成が求められているのです。

⑥ 気象をコントロールするITの模索

日本でも世界でも、2023年夏の暑さは過去最高の水準と言われています。米メーン大学気候変動研究所のデータによると、世界の気温は2023年6月以降8月下旬に差し掛かるまで、それまでの過去最高水準だった2022年を大きく上回って推移しました。

消費者の動向の把握、農作物の管理など様々な観点から、気象の予報をより正確に実施することが求められ始めています。気象庁は、線状降水帯をAIで予測するなど新たな取り組みに着手しています。GPSやドローンなど周辺のIT技術の進展も、気象のコントロールに大きく関係してくるでしょう。

⑦ 急速に近づく現実解としての自動運転、その道のりとは

ホンダと米ゼネラル・モーターズ(GM)が、2026年に東京都心を皮切りに無人タクシーサービスを開始すると報じました。特定の条件下で自動運行装置が運転操作を担う「レベル4」に対応し、都心の公道で実用化すれば日本初になるとしています。

夢物語と考えられていた自動運転ですが、いよいよ現実解としての未来が見えてきました。円安による外国人観光客の増加もさることながら、日本のタクシー業界は人材不足が課題となっており、タクシー数の減少によりいわゆる“タクシー待ち”が深刻な問題になっています。その解決策としても、無人タクシーを含めた自動運転車に注目が集まっているのです。ただし、その過程では、技術面や法制面から様々な課題の解決が求められるでしょう。

ここまで見てきたように、来年は2023年に業界を揺るがしたITトレンドが大きく発展・普及し、そして企業が当たり前に自社サービスとして組み込む時代になるのではないでしょうか。もしかしたら、ディスラプション(既存サービスの根底を破壊するような革新的なイノベーション)が巻き起こるかもしれません。この波に乗り遅れないようにするためにも、新たなテクノロジーの訪れに常に敏感になっておきたいところです。

  • OpenAIはオープンエイアイ インコーポレイテッドの登録商標です。
  • LINEヤフーはLINEヤフー株式会社の登録商標です。
  • Amazon Bedrockはアマゾン テクノロジーズ インコーポレイテッドの登録商標です。
  • 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は独立行政法人情報処理推進機構の登録商標です。
  • ホンダは本田技研工業株式会社の登録商標です。

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