DXに向けたIT構想企画の方法論
~データの価値を最大化する次世代EA~

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2023年9月20日

デジタル化社会の進展とともに企業システムはビジネスと表裏一体になろうとしています。DXに向かう今、新たなEA※像に基づくIT構想企画の方法論が求められます。その姿は、従来にも増してデータの価値を最大化する次世代のエンタープライズアーキテクチャです。また、これを維持するデータマネジメントのしくみと組織が必要不可欠です。
今回のコラムは、株式会社アイ・ティ・イノベーション AMO室 室長の中山 嘉之 氏にご執筆いただき、アーキテクチャが必要な背景や、DX構想企画、DXの実装方法や管理面など、2W1Hの切り口で解説いただきます。

  • EA:Enterprise Architecture

DXに向けて企業システムはビジネスと一体化へ(Why)

2020年代に入り、企業システムの役割は、これまでの事務効率化やコストダウン等の守りから、ITを用いて顧客との関係を強化し、売上増に寄与する攻めに転じようとしています。

DX以前のEA(エンタープライズアーキテクチャ)は基幹系システムではほぼ確立したと言えます。しかし、企業活動全域では未だアナログ作業が多く存在しEAは混とんとした状態にありました。

近年、インターネットの普及によるWeb系システムや、BI※による情報系システムが進展し、システムスコープは大きく拡大しつつあります。企業活動の大半がIT仕立てになるDX時代、EAのかたちはビジネスとITが一体化した新たなものへと変わろうとしています。

このような背景の下、従来の型にはまった基幹系システム構築の方法論だけでは立ち行きません。次世代EAに基づく新たなIT構想企画の方法論が今求められます。

  • BI:Business Intelligence

DXに向けたシステム化の構想企画とは(What)

従来のEA設計では、ともするとBA※と、それ以外のITアーキテクチャ(DA、AA、TA※)は切り離されて考えられてきましたが、DX時代では両者はシームレスな関係になります。

DXではITがどのようなビジネス・イノベーションをもたらすかが問われるので、IT構想企画は、新たなビジネスモデルを可視化したBA像をベースとして、従来のDA、AAに足りないもの、さらにはこれらを実装する新たなTAを可視化することが必要になります。その可視化の手段は各種の“モデル図”になります。モデル図の種類は、ビジネスモデル概念図のような新たなものに、スタンダードなERD、DFD※等をテーラリングしたものを加えた数種類に厳選します。

このモデリングアプローチは、デジタル仕立てのシステムを絵図によりアナログ化し、設計者の視覚に訴えることができます。これにより、不足したデータやプロセスを発見する有効な手段となります。そしてモデリングの最大のねらいは全体最適な美しいEAを模索することです。中でもデータ連携の整流化はその要(かなめ)となります。

  • BA:Business Architecture、※DA: Data Architecture、※AA: Application Architecture、※TA: Technology Architecture
  • ERD: Entity-Relationship Diagram/ER図、※DFD: Data Flow Diagram/データ・フロー図

次世代EAの実現手段は(How)

次世代EAの青写真ができたならば、ステップ・バイ・ステップで優先順位の高いモノから物理実装していくことになります。実装では論理モデルに対して最新のTAを上手くミートすることで新たなビジネスモデルをより魅力的なものにします。

とりわけシームレスなデジタルワールドを構築するためには、各種業務アプリケーション間を繋ぐデータ連携基盤や、データ分析基盤の実装手段の選定が重要になります。この連携基盤を辿って、分析基盤で捉えられた現象をきっかけに、業務システムの領域に遡ってその原因を探ることが可能になります。いわゆるデータリネージ(Data Lineage)の実現です。

一方、ネットワーク/サーバ等のインフラ領域に関しては、従来のオンプレミスから、クラウドベースへと大きなパラダイムシフトが起きてきます。自らハード/ソフトを所有してシステムを運用するのではなく、ベンダーが提供するサービスをサブスク利用することでビジネスの変化に迅速に対応することが可能になります。

  • SoR:System of Records、 ※SoE:System of Engagement、 ※SoI:System of Insight

DXの前提となるデータ管理(Management)

DXに向けて企業活動の表舞台に立つことになったIT部門ですが、一方でスコープ拡大がなされた企業システムの情報品質を維持するためにはデータマネジメントの強化が必要になります。データマネジメントの要素には、メタデータ(データの意味や形式)管理と、データコンテンツ(データ自身)管理の二つの観点がありますが、いずれも人海戦術から脱却するために管理システムを用います。

メタデータ管理は、メタデータをリポジトリに格納して利用するデータベースシステムで行います。これによりデータを格納する器(うつわ)の品質を担保します。一方のデータコンテンツ管理はMDM※システムでマスタデータのコンテンツを管理することで、クリーンなデータ品質を担保します。

データ管理を担う組織は、メタデータ管理については通常、CIOの下でメタデータ管理者が行います。一方のデータコンテンツ管理はCEOの下で事業部門のデータスチュワードが行いますが、企業活動での重要性が高まるにつれ、CDO(Chief Data Officer)の下で独立したDM※組織が担うことになります。

  • MDM:Master Data Management、 ※DM:Data Management

X時代において、次世代EAの採用とデータマネジメントの強化は、企業がDXを推進するための鍵となるでしょう。データの力を最大限に引き出し、変化するビジネス環境に適応するための基盤を整えることで、企業は確固たる競争力を築いていくことができるのです。
アイ・ティ・イノベーションとMINDは、今後も企業の要望に迅速に応え、ビジネスとテクノロジーを統合することで、競争力強化の支援をしてまいります。

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