2023年ITトレンド7選!
各分野でテクノロジーの転換が進むのか?

  • # ITトレンド

2023年1月27日

2022年は、クラウドセキュリティーやノーコード・ローコード開発、メタバースなど、従来の組織構造やセキュリティーを見直す動きが加速した一方、未来志向の働き方の可能性が感じられた1年でもありました。2023年はアフターコロナを意識し、この数年で起きた変化が定着化する動きが見られることになりそうです。深刻化するサイバーリスクにおいてはゼロトラストを意識したセキュリティーの仕組み、クラウド化の本格化、非構造化データを取り入れたデータ分析手法など、いよいよ従来の手法が「過去のもの」になっていく兆しが見えてきています。ここでは、2023年を占うITトレンドを7つ選び、紹介します。

今回は2023年におけるITトレンドとして、「非構造化データ」「サイバー攻撃」「エンドポイントセキュリティー」「クラウド管理」「OT(制御システム)」「メタバース&Web3.0」「デジタル免疫」についてご紹介します。

イメージ:2023年のITトレンド

非構造化データ ~宝の山の非構造化データが分析の可能性を広げる~

データ活用において、画像や音声、センサー、テキストなど定型化されていない「非構造化データ」の活用がますます進みそうです。例えば、大きな活躍が期待できる非構造化データのひとつに気象データがあります。

主に小売業では、製品の供給量や消費の販売量を予測し、廃棄をできるだけ減らしつつ、収益を向上させることが命題になっています。リアル店舗で販売する場合、天気によって販売数が大きく左右されることもあります。過去の販売実績データに気象データを組み合わせたうえで、AIで需要を予測することで、生産数を柔軟に調整し、廃棄や機会損失によるムダを排除することが可能になります。同様に、農業や観光業界でも気象データの活躍が見込めます。また気象データは、気象庁が無料で公表しているため、気軽にビジネス活動に組み込めるのも魅力でしょう。

非構造化データは、いわば生データであるため、分析するためにデータを整理する「データクレンジング」を行う必要があります。しかし、近年では、データ処理サービスなどが充実してきているため、専門知識がなくても簡単に分析できるようになっています。

サイバー攻撃 ~企業以外にも広がる攻撃リスク~

ランサムウェアによる標的型攻撃は、企業の機密情報を狙い直接攻撃していましたが、現在では、セキュリティーの手薄な関連会社や取引先企業などサプライチェーンを狙い、そこを踏み台に社内に侵入する攻撃が多発しています。また、社内システムよりセキュリティー強度の低いテレワーク端末を狙うケースも見られます。

また狙われるのは、何も企業だけではありません。最近では、医療機関や図書館など非営利公共機関も攻撃の対象になりつつあります。これらの機関では、リスク対策に割ける予算や要員確保が難しいため、専門業者にアウトソーシングする需要が高まっています。

MINDでは、SOC(セキュリティーオペレーションセンター)によるセキュリティーサービスに加え、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)領域に踏み込んだ「サイバーフュージョンセンター」を提供しています。対応から復旧までトータルに専門家に任せるという形態が、今後の標準になるかもしれません。

エンドポイントセキュリティー対策 ~ゼロトラストセキュリティの第一歩はEDR~

何も信頼せず、全ての通信に対して検証を行い、安全性を確保する「ゼロトラストセキュリティー」に対する認知度や需要が加速しています。これを実現すべく、端末の不正な挙動を検知して、サイバー攻撃の被害を最小限に抑えるEDR(Endpoint Detection and Response)を中心としたセキュリティー対策の重要性がさらに増してくるでしょう。また、人材不足も顕著になっていることから、担当者の作業負担を軽減しつつ、サイバー攻撃からシステムを保護できるマネージドサービスが注目されています。

もちろん、MINDでも企業のセキュリティー課題を解決するソリューションを提供しています。例えば、MINDの「マネージドEDRサービス」では、セキュリティーアナリストが端末の不審な挙動をリアルタイムで監視し、アラート発生時には端末を速やかにネットワークから隔離することで、影響を最小限にとどめるとともに、感染の拡大有無や今後の対応・対策について調査し、報告します。これにより、お客様の日々の負担を軽減するとともに、セキュリティーを強化できるようになるでしょう。

イメージ:エンドポイントセキュリティー対策

MINDのセキュリティーアナリストによるリアルタイム監視で、セキュリティーリスクを最小化

クラウド管理 ~クラウド全体の統合運用でDXを加速~

デジタルトランスフォーメーション(DX)を検討するうえでは、レガシーシステムが足かせになる場面も多く、2023年も引き続きAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)をはじめとするパブリッククラウドの重要性がますます高まりそうです。

また、アプリケーション開発にコンテナを活用し、ネットワークもソフトウェアを活用して仮想化する動きも加速しそうです。それぞれをクラウドが担うような場合に、複数クラウドを同時に活用するマルチクラウドを支える仕組みが求められます。

クラウド管理によって、共通のガバナンスとポリシーに基づいて、複数のクラウド事業者の管理や、稼働状況の監視、設定やリソースの管理、自動プロビジョニングなど、クラウド全体を統合運用することができるようになります。

OT ~オープンネットワークへの接続によりセキュリティーリスクが増大~

先にも少し触れましたが、2022年のセキュリティー分野で最も衝撃的だったのは、ランサムウェア攻撃の激化です。海外ではパイプラインなど重要なインフラ企業が狙われ、日本でも操業停止を余儀なくされた企業もありました。ITリスクの範囲が広がる中で、最も警戒が必要な分野が、制御システムを指すOT(Operation Technology)です。欧米を中心に進んできた、IoTを活用した工場スマート化の動き「インダストリー4.0」も背景にあります。

これまで、OTはクローズドネットワークとして構成され、セキュリティー上のリスクは低いと考えられていました。しかし、製造業のDX化により、ITのオープンネットワークともつながることで、大幅な利便性・業務効率向上を図る一方で、セキュリティーリスクの懸念も高まりました。

OT分野のデジタル変革と、表裏の関係にあるセキュリティー確保は、さらに大きな課題として対策が求められるでしょう。

メタバース&Web3.0 ~新テクノロジーの登場でビジネスモデルの未来が変わる~

GAFAM (Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の一角である旧Facebookが、2021年10月に社名をMetaに変更したことで世界中に驚きを与えたのは記憶に新しいでしょう。このように世界中でメタバースへの動きが着々と進んでいます。日本でも大手企業同士が、メタバースを用いた顧客へのサービス提供で提携するといったケースが出てきています。特に製造業においての注目分野のひとつは、工場をそのままデジタル上で再現する「デジタルツイン」の作成です。デジタル上の工場で操業させることで、工場の状態を確認しながら、トラブル発生箇所の予測などが可能になり、生産設備の稼働率を高めることができるようになります。

またブロックチェーンを利用するWeb3.0領域において、認証技術としてのNFT(Non Fungible Token)を活用した新たなビジネスモデルなどが考えられます。従来は「売って終わり」だった製造業が、息の長い顧客マーケティングを展開できるようになるという意味で、NFTは大きな転換をもたらす技術になり得るでしょう。

デジタル免疫 ~AIによる自律的な修復で安全性を担保~

セキュリティーモデルが従来の境界防御型から、ゼロトラストモデルへと転換する中、セキュリティーを支えるシステムも複雑化すると予測されています。

その解決策として挙げられるのが、AIを活用して自律的に自動修復する仕組みです。もちろん、そのAI自体が信頼できるものであり、安全性が高い必要があります。そうした仕組みを「デジタル免疫」と呼び、今後の普及が期待されています。調査会社のGartner社は、デジタル免疫システムの5要素として、自律型テスト、カオスエンジニアリング、可観測性、自動修復、継続的な検証を挙げています。システム運用にも本格的に自動化の流れが訪れています。

ここまで見てきた7つを見るだけでも、2023年もITを取り巻く動きはエキサイティングなものになりそうです。ビジネス環境の急速な転換をもたらすテクノロジーの進化を、着実にウォッチしておきたいところです。

  • Amazon, AWSはアマゾン テクノロジーズ インコーポレイテッドの登録商標です。
  • Microsoft, Azureはマイクロソフト コーポレーションの登録商標です。
  • Google, GCPはGOOGLE LLCの登録商標です。
  • Meta, Facebookはメタ・プラットフォームズ・インコーポレイテッドの登録商標です。
  • Appleはアップル インコーポレイテッドの登録商標です。
  • Gartnerはジー.ジー.プロパティズ,リミテッドの登録商標です。

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