シリコンバレーだより3
アメリカシリコンバレー近況とITインフラにおけるAI活用

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2022年12月23日

MIND ITリサーチオフィス(以下 ITRと呼ぶ)は、2005年10月に米国最新技術動向を調査することを目的として、米国カリフォルニア州シリコンバレー地区に設立されました。その後15年以上シリコンバレーにオフィスを構え、米国技術動向の調査を行っております。
シリコンバレーのオフィスは、三菱電機のイノベーションチームと共に20名程度が在籍し、MIND ITリサーチオフィスとしては、現在2名体制で調査活動を実施しております。
主なテーマはITインフラにかかわる技術動向で、クラウドやセキュリティー、5Gなど多岐にわたる領域を対象としており、最近ではデータ活用の調査も行っております。

シリコンバレー近況

コロナからの回復し、米国ではコロナがあったことが忘れられたような生活をしています。
実際は継続して毎日4万人前後の感染者と数百人の死亡者が発生していますが、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の統計分析をみると感染者は20~40代に多く、感染が多い年代では重症化していないようです。
これを踏まえてバイデン大統領がPandemic is Overと宣言し、コロナは残っていてもパンデミックは終わったとして、今まで厳格なルールとなっていた屋内外でのマスク着用や6Feet(約1.8m)のソーシャルディスタンス、濃厚接触といったパンデミック対応はすべて廃止され、日常生活が戻っています。

これによりオフィス内や小売店などの店内、公共交通機関でも全くマスクをすることがなくなり、外出時にマスクを持つということを忘れる日々を過ごしております。

イメージ:シリコンバレー

企業のインフラ運用・セキュリティー運用の課題

コロナから回復した企業のITインフラは、自宅、オフィスの併用(ハイブリッドワーク)やクラウドアプリケーションの活用などで、ITインフラ自体が複雑化しています。利用者は、安定稼働して当たり前のインフラはあまり意識せず、ビデオ会議などのアプリケーションの快適さを求めることが増えてきています。
米国ではTotal Experienceというキーワードで、ユーザ、従業員含めた利用者の体感を向上させることが目的に変化してきています。
一方、実際のITインフラ運用やセキュリティー運用においては、インフラ構成の複雑化や大量のアラートによって運用業務の輻輳、アプリケーション、ネットワーク、デバイスと運用領域の分散が見られ、より一層統合的な運用が求められています。

そんな中、運用を行うためには、見えないものは管理できない、守れないという観点からObservabilityという継続的な可視化機能を搭載したサービスが多く登場してきました。
更にこれら機能を運用に生かすには、ObservabilityのデータからAI/MLを活用した分析が有効になるといわれています。

  • すでに可視化データを基にしたML分析による障害原因分析や状態スコアなどの機能が登場しています。
  • AI:Artificial Intelligence(人口知能)、ML:Machine Learning(機械学習)

AIの活用

こういった観点からもITインフラ運用においては、AIやMLの活用が注目され活用が進められており、最近登場する管理ツールなどでは、大半がAIの搭載を強みにするものが多く感じます。
さらには、ビジネス戦略の観点でも経営データなどにおけるAIの活用もされ始めており、AI利用が進む一方で、「AIは特効薬ではない!」との言葉も良く目にするようになりました。

AI自体は、データを集め、人間が気付かないようなインサイト情報を見つけ、それらを分析して結果を出します。
もしこの入力されたデータ自体にバイアスがかかっていると、偏った分析結果となってしまいます。
こういった観点からも、AIを活用するには、しっかりとした専門家がAIの運用(AIOps:Artificial Intelligence for IT Operations)を行うことが必要といわれています。

AI機能搭載のツールを使う場合は”提供側のAI運用状況”を、AIモデルを購入し自社でAI機能を使う場合は”利用者側のAI運用状況”を、それぞれ利用者自身が確認することが求められ、それらを実行して運用されたAIは「信頼されるAI」とよばれ、AI使用リスクが軽減できるといわれています。

米国標準技術研究所(NIST)においてもこういった「信頼されるAI」というものを活用することが推奨されており、AIリスクマネジメントのフレームワークを策定しているといった動向からもAIOpsの重要性が広まりつつあります。

イメージ:シリコンバレー

自律への発展

ITインフラの運用においては、自動化(Automation)が重要になっています。
自動化は、人が考え、取り決められたルールに従い、一定の条件にマッチした入力に対して決められたアウトプットを行うことです。
これにより、単純な決められた作業の負担がなくなり、効率的になるものと考えられます。

最近ではAIの活用が進むことで、この自動化が自律化(Autonomous)へ発展することも登場し始めています。
自律化は、人が気付かないInsight情報を活用し、機械が自ら考えアクションを行うこととなり、人が想定していない事象についても自律的に修復や変更を加えることになります。

わかりやすいイメージで言うとクラウドリソースの状態をモニターし、人が気付かない事象を察知し、自律的にキャパシティの増減を実行するといったことがあげられます。

この自律化は、日々進歩するサイバー攻撃への対応が必要なセキュリティー運用においても活用が期待されます。
セキュリティー運用での自律化適用イメージは、従来すべてのアラームに一律対処していた運用が、自社のビジネスにインパクトを与えるかどうかを重要な観点として、インパクトがあるアラームのみ抽出し対処するというものです。さらに影響が大きいインシデントについては、攻撃シナリオを自律システム内で構成し、最も重要な個所の修復を促すといった“攻撃による影響を想定し自律的に対処を行う”形があげられています。

自律に関するツールはまだまだこれからとなりますが、膨大になるセキュリティー運用負担の考え方が変わるとして今後の動向に注目が集まっています。

まとめ

コロナで始まったハイブリッドワークやクラウド利用推進によって生じたITインフラの複雑化は、利用者の利便性向上と反して、運用への負担増といった形で表れ始めています。
MINDでも9月に発表した一歩踏み込んだセキュリティー運用としてサイバーフュージョンセンター設立を発表しておりますが、ネットワーク、クラウド、セキュリティーといったインフラにかかわる運用を支えるベンダーとして、AI機能を取り入れ、よりお客様に貢献できる運用の実現を行っております。

我々ITリサーチオフィスとして、北米における、AIや自律など最新動向など、ITインフラにかかわる最新動向を調査し、MINDの運用を通してお客様の利便性につながる活動を続けてまいります。

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