イノベーション待ったなし!2022年の注目ITトレンドを徹底解説

  • # ITトレンド

2022年1月26日

2021年はテレワークが定着し、新しい働き方が広がり始めた年になりました。これに拍車をかけるように、テレワークと従来のオフィスワークを柔軟に組み合わせたハイブリッドワークの実現に向けて動き出す企業も増えています。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業が様々な成果を上げ始め、新たにビジネス価値を生み出そうとしています。今回は2022年を迎えるにあたり、イノベーションの実践を念頭に置いたうえで、注目すべきITトレンドを5つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

2021年のIT動向は?

2022年のITトレンドを紹介する前にまずは、2021年のIT動向を簡単に振り返りましょう。2021年は、昨年に引き続き新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振ったことから、既存のテレワークのさらなる効率化や定着化が検討されるなど、将来のビジネスを見据えたIT環境の整備や取り組みが拡大しました。

また、令和3年度の電子帳簿保存法改正に向けたペーパーレス化が加速するなど、ますますデジタル技術の活用によるDX促進が求められる年であったともいえるでしょう。

イメージ:2022年のIT動向は?

イノベーションを促進する、2022年のITトレンド5選

ここからは、2022年に注目したい「デジタルワークプレイス」「ローカル5G」「ゼロトラスト/SASE」「ハイパーオートメーション」「バーティカルSaaS」の5つのITトレンドについて紹介します。

デジタルワークプレイス

デジタルワークプレイスは、ITツールで実現する「デジタル上の職場環境」です。社内外のメンバーが共同の作業空間に集い、文書を作成したり、情報共有を行ったり、タスクの進捗を管理したりといったことが実現します。このように、デジタル上のプラットフォームを通して業務を行えるため、時間と場所を問わない働き方の実現や生産効率の向上、コラボレーションの促進が期待できます。

また、デジタルワークプレイス上でプロジェクトの進捗管理やデータ共有が行えるほか、Web会議、ウェアラブルデバイス、IoT(Internet of Things)、画像解析などの最新技術の活用も可能となり、従来は考えられなかったような新しい働き方やビジネスが実現に近づきます。

テクノロジーを使って場所と時間を飛び越えたコラボレーションにより、新しい価値を創出できるデジタルワークプレイスは、今後、“働く場所”の中心となる日が訪れるかもしれません。

ローカル5G

ローカル5Gとは、通信事業者ではない企業や自治体が、一部のエリアや建物内に専用の5Gネットワークを構築することです。やはり、5Gということで、これまでのLTE(4G)回線に比べると通信速度や接続性が段違いに良く、Wi-Fiと比較しても通信範囲が圧倒的に広いのが特徴です。また、局所的に設置するため、キャリアが提供するパブリック5Gからの影響を受けず、外部のネットワークから切り離されていることからセキュリティーも担保できます。

超高速・大容量、低遅延、多数同時接続といった5Gの特徴を生かし、工場内の様々な制御機器から大量の情報を瞬時に吸い上げ、分析して生産性を高めたり、それらをリモート操作して無人化したりといった使い方によって、業界の垣根を超えたイノベーションが期待されています。

現在では、総務省主導のもと「令和3年度課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」も行われており、多くの企業がこれに参画しています。今後は、ビジネス領域以外にも、教育機関や公共施設での活用も検討されているようです。このように、ローカル5Gの利用が拡大すると、おのずと導入費用も低くなり、中小規模の事業者や公共機関でも採用が加速すると考えられています。今後ローカル5Gは、イノベーションの源泉としての役割を果たすことでしょう。

参考資料:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu06_02000304.html

ゼロトラスト/SASE

ゼロトラストとは、「何も信頼せずに、すべてを監視・確認し続ける」というセキュリティーの考え方です。一方、SASE(Secure Access Service Edge:サシー)とは、2019年8月にIT調査会社のガートナー社(※)が提唱したセキュリティーフレームワークで、ユーザーやデバイスの環境に依存しないセキュリティーを提供するものです。

SASEは、ゼロトラストを実現するセキュリティー手段として注目を集めています。これまでは、ネットワーク上の外部と社内ネットワークとの境目に壁(ファイアウォール)を作ることで、脅威をブロックする境界防御が主流でした。ですが、クラウドサービスの活用拡大やテレワークの普及により、外からアクセスを行う機会が多くなり、いままでのセキュリティーフレームワークでは安全性の確保が難しくなりました。そこで、システムに侵入されることを前提にセキュリティーを保護する、ゼロトラストの考え方が次第に広がっていきました。

昨今では、自社のシステムとデータを守るにはどうすればいいのかという喫緊の課題に対し、多くの企業がゼロトラストやSASEの概念をベースにしたセキュリティー戦略を構築するようになっています。

イノベーションを支えるのは、クラウドを中核とする非境界防御型の次世代テクノロジーであり、セキュリティーの確保にはゼロトラストやSASEの考え方が欠かせないものになっています。

境界防御が想定しているネットワークと現代のネットワーク

境界防御が想定しているネットワークと現代のネットワーク

出典:2021年 6月号(No.256)|三菱電機 MELTOPIA:スペシャルフォーカス

ハイパーオートメーション

ハイパーオートメーションとは、様々な業務におけるプロセスを洗い出し、迅速に自動化するアプローチのことです。主に、RPA(Robotic Process Automation)やLCAP(Low- Code Platform)、AI(人工知能)、バーチャルアシスタントといった最先端のテクノロジーが活用されます。最近では、プロセスの洗い出しを含めて、自動的にソフトウェアで実行できるソリューションも提供されています。

近年のDX加速に伴い、多くの企業で組織内の業務プロセスを見直し、現場主導でテクノロジーによる自動化に向けた取り組みが盛んに行われています。その取り組みのなかで、複数のシステムを連携させる場合、各システムに齟齬(そご)をきたさないかを入念に調べる必要があります。たとえ調査を実施したとしても、実際に連携させると予期せぬトラブルが発生してしまうこともあります。

こうした課題にハイパーオートメーションは有効です。ハイパーオートメーションの機能を持ったソリューションを活用することで、大規模で複雑な構造を持ったシステムであっても、事前にあらゆる問題を抽出し、自動化や改善方法の提示が可能になります。これにより、時間とコストの節約はもちろんのこと、イノベーションの促進も実現できます。

ただし、イノベーションを確実に実践するには、一部の現場での作業のデジタル化だけでなく、複雑に入り組んだ業務システムの改善にも着手しなければなりません。そういった意味でも、ハイパーオートメーションの活用は今後ますます広がっていくでしょう。

バーティカルSaaS

バーティカルSaaSは、特定業種に向けたSaaSです。バーティカルとは垂直という意味があります。ちなみに経理、マーケティングなど業種を問わず、業務に対応するSaaSは「ホリゾンタル(水平)SaaS」と呼ばれます。

いまやSaaS活用がビジネス活動で不可欠なものとなりつつある現代、オンプレミスシステムで「マーケティングツール」や「営業管理ツール」を自作して運営している企業も、昔に比べると少なくなっています。とはいえ、特定の業種によっては、一般的なSaaSでは適応できない業務が多く存在するため、IT化がうまくできないケースもあります。このように、あらゆる制約が付きまとう業種の特有課題を解決できる手段として、バーティカルSaaSが注目を集めています。

バーティカルSaaSは、建設や医療、飲食業や農業など、専門性が高い特殊な現場、もしくはミッションクリティカルな現場に提供されています。これらの業種の共通点としては、人手不足が恒常化し、さらには業務のIT化がそこまで浸透していないことでしょう。

バーティカルSaaSの中には、業界の主力企業が開発ベンダーと密接に連携してサービス構築を進めているケースもあります。SaaSの場合、一度開発すれば、導入もしやすく、バージョンアップも容易なため、ビジネスにつなげやすい特徴があります。IT化が進んでいなかったからこそ、ITによるイノベーションを起こしやすい側面があるといえるでしょう。

ベンダー側へのメリットとしては、業界特化のソリューションがゆえに、競合企業が少なく、高いシェアを取れる可能性があります。また、一度シェアを獲得してしまえば、別ベンダーへの乗り換えや解約が起きにくくなり、うまく行けばデファクトスタンダードのSaaSというポジションを確立できるかもしれません。

まとめ

2022年のITトレンドを5つのキーワードに分けて紹介しました。いかなる時代になろうとも、技術の進歩は進んでおり、ITのトレンドも常に変化しています。今回選定したITトレンドは、いずれ多くの企業で活躍していくことでしょう。

今回は、通信、セキュリティー、自動化、SaaSなどの分野での新しい動きを紹介したわけですが、コロナ禍で大打撃を受けた経済環境のなかで飛躍を果たしていくには、こうした技術の導入をいかに効率的に行うか、そして導入を目的にするのではなく、その先のイノベーションの実現を見据えておくことが鍵になります。

当社では、お客様のイノベーション達成の道のりを支援するため、各種ソリューションをご提供しています。人事・労務管理を中核とするソリューションや、製造事業、流通・ヘルスケア事業、そしてクラウド・仮想化・情報セキュリティー等のIT基盤を支援するインフラ事業など、多様な業種・業務の効率化を安全にサポートできます。お客様の事業拡大を支えるパートナーとして、ぜひお気軽にご相談ください。

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