COVID-19を経た米国シリコンバレーの近況

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2021年10月22日

MIND ITリサーチオフィス(以下 ITRと呼ぶ)は、2005年10月に米国最新技術動向を調査することを目的として、米国カリフォルニア州シリコンバレー地区に設立されました。その後15年以上シリコンバレーにオフィスを構え、米国技術動向の調査を行っております。
シリコンバレーのオフィスは、三菱電機のイノベーションチームと共に20名程度が在籍し、MIND ITリサーチオフィスとしては、現在2名体制で調査活動を実施しております。
主なテーマはITインフラにかかわる技術動向で、クラウドやセキュリティー、5Gなど多岐にわたる領域を対象としており、最近ではデータ活用の調査も行っております。

シリコンバレー近況


COVID-19により、シリコンバレー地区ではShelter In Place Order(外出自粛令)がいち早く出され、必須事業を除くほぼすべての企業で100%のリモートワークが継続しておりました。
21年4月ごろから始まったワクチン接種が急速に広がり、6月に経済活動再開として、カリフォルニア州全域で大半の規制が解除となり、これにより、マスク着用義務も解除され、屋内での飲食も開始されました。ワクチン接種は、一時スタジアムやスーパーの薬局、使われていない企業の駐車場など色々な場所で進められており、全米で約6割、シリコンバレーがあるサンタクララ郡では約8割が接種を完了しています。
デルタ株の拡大によって感染者数が広がっている現在でも、屋外ではマスク着用はなく、スポーツイベントやコンサートなど、人が集まるイベントも再開され、街中での人の多さや交通量など徐々にCOVID-19の発生前の様子に徐々に戻りつつあります。

イメージ:ワクチン接種証明

イメージ:シリコンバレーの様子

リモートワークからのオフィス回帰

長らく続いていたリモートワークでは、生産性が上がるなど、パンデミック中のワークスタイルの成熟に合わせ、効果が出つつありましたが、6月の経済活動再開に合わせ、シリコンバレーの大手テック企業は、9月を目処にしたオフィス再開を発表していました。
しかしながら、再開に合わせて、賃金形態、物理的な出社条件などが徐々に公表されるに従い、従業員からの反発が多く発せられています。
特にシリコンバレー地区においては、もっと柔軟な勤務形態を求め、フルタイムオフィス勤務になる場合は、従業員が転職を検討するといった意見も出ており、今後の大手テック企業の動向にも注目が集まっています。
実際に、従業員の一部は、リモートワーク中心となったことで、地価の高いシリコンバレーから遠隔地へ引っ越しをした家族も多く、我々シリコンバレーオフィス内にも遠く離れたエリアへ引っ越したメンバーも在籍しています。
これらの問題は、日本同様デルタ株の拡大を理由に、各企業はオフィス再開の延期を発表したことで継続検討となっており、今後の動向が注目されています。

イメージ:オフィス回帰

ハイブリッドを支えるコミュニケーションツール

リモートワークが中心となった多くのテック企業では、日本と同様にビデオ会議ツールを活用しています。また、リモートワークを中心とした働き方の中で、多くのコミュニケーションツールの活用が報告されています。
活用されるコミュニケーションツールは大きく2つの種別があり、ビデオ会議などを行う音声系ツール、チャットや掲示板など情報共有系ツールです。
音声系では、オフィス内外で利用できるソフトフォン※がすでに浸透し、ビデオ会議と併用されておりますが、最近では仮想オフィスツールが多く登場します。仮想オフィスツールの中では、VR(virtual reality)/AR(Augmented Reality)を用いた仮想空間でアバターを利用したコミュニケーションツールも検討されており、各種テクノロジーイベントでは、実際の人と仮想空間上のアバターとして参加するなど活用が増えつつあります。
これらコミュニケーションツールは、企業全体で共通して利用するというより、プロジェクトメンバーや開発チームといったコミュニケーションが必要な小さな単位で活用が進んでおり、メンバー間で色々試しながら活用が進められており、米国の機動力が良く出ていると感じます。

  • ソフトフォン:PCやスマホにアプリを入れ、ソフト上で通話ができる機能

今後のニューノーマルなワークスタイルに向けて

これらコミュニケーションツールにおいて、音声系のツールでは、やはり品質が重要となってきています。
特に米国では、プレゼンターは資料ではなく、説明者の発表を重視する傾向もあり、カメラを常時Onとするケースが多く、ネットワークの帯域を多く消費します。
営業販売などにおいても、物理訪問ができない代わりに全米各地でリモートによるセールスミーティングが開催できるなど、販売網の拡大につながっている一方で、音声ツールの品質が低下すると、多大な影響を受けるということも出てきています。
最近ではこういった利用者やお客様のエクスペリエンス(体験)を重要視することが多く、企業の経営層が重要な投資先として、ユーザエクスペリエンスの向上が注目されています。
こういった流れを踏まえ、今後の注目される動向の中で、トータルエクスペリエンス※が注目されています。これらを実現するツールの一つとしてデジタルエクスペリエンスモニター(DEM)などがマネジメントツールの1機能として盛り込まれることが多くなってきています。ツールの提供のみでなく、これらが活用されていることをしっかりサポートできることも必要となっていくと考えられます。

  • トータルエクスペリエンスは、ユーザエクスペリエンス(UX)とカスタマーエクスペリエンス(CX)、エンプロイーエクスペリエンス(EX)、マルチエクスペリエンス(MX)の4つを連動させることでトータルにより良いエクスペリエンスを生み出すこと

COVID-19に対する市民生活・企業活動は、米国も日本も大きな違いはないように見えます。
日本でもワクチン接種が進むにつれ、緊急事態宣言中の働き方が、将来の働き方につながっていくと思います。一方、広い国土を持ち、リモートワークが先行していた米国企業のITインフラに対する投資は、緊急性による整備から「利便性」や「品質重視」にいち早くシフトしています。
このようなにスピード感の違いがあるものの、今後の日本カルチャーへの適用に、日本企業の成長の伸び代があると思われます。日本でデジタル庁が創設されたことも、日本社会全体が飛躍するきっかけになると考えられます。
ITRでは、企業の成長に向けた経営課題・現場課題解決に向けて、今後も様々な調査を通じて支援をしていきます。

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